長編

□え?アイドル?
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「久しぶりに会ったんだ。このあと仕事も入ってないし、家にいってもいいか?」





兄貴の申し出に私はドキッとした
今日は、夜に蘭丸が夕食を食べに来る約束だったからだ
蘭丸のことは全く話していない(話せないといった方が正しいのか…)ため今日兄貴を家に招き入れることはできない




「あぁ…えっと、今日はちょっと。私は遅くまであるし」

「高校に通っていた時も十分遅かっただろ?そんなの今更「家に帰ったら確認しなきゃいけないこともたくさんあるし!」…まあ社会人になったからな。無理言ってごめんな」

「私こそ、今度また連絡するから」

「わかった。じゃあ俺はもう行くな」

「頑張って」




なんとか言い訳が通じたようでホッとする
兄貴が楽屋から出ようと、扉を開けた瞬間誰かが楽屋の前を通る
灰色の髪にスッとした横顔、一瞬で蘭丸だとわかった
そして向こうも私に気付いたと思うと、私の名前を呼んだ




「亜弓ここにいたのかよ。明日のスケジュール確認してーんだ」

「えっあ、ごめんごめん!」




ヤバイ、兄貴の目の前で





「あ?んだよ勇人じゃねーか」

「今更かよ。」





普通に蘭丸と話し始める兄貴に私は驚いた
二人は知り合いだったのか。
まあこの業界にいれば知り合いであってもおかしくはないだろう





「ところで、お前亜弓と知り合いなのか?」





やっぱり聞いた!!
どうしよう、蘭丸。お願いだから余計なこと言わないよ





「こいつはマネージャーみたいなもんだ」





おしゃべり!!!






「マネージャー?男のか?」

「俺が女に見えんのかよ」






兄貴の顔がドンドンと険しくなっていく
あぁぁ、嵐の予感がするよ
そういえば、蘭丸は私に兄貴が居ることはしってるけど
今目の前にいる男の人が私の兄貴なんて知るわけもない




「だいだいなんでテメーにコイツの事教えなきゃいけねーんだよ」

「俺の妹だから当然だろーが」

「妹だ?」





蘭丸が真実を聞き出すかのように目で訴えてくる
私はアハハ…と苦笑いしか返せなかった





「お前がコイツのシスコン過ぎる兄貴か」

「だからどうした?」

「あー!!はい!この話しはもうおしまい!ほら、兄貴は仕事でしょう?早く行った行った!」

「おっおい亜弓!」




このままでは状況が悪化すると思い
私は兄貴の背中を無理に押して楽屋から出して仕事に向かわせた



「話に聞いてた通りのシスコン兄貴だな」

「なんで挑発するような言い方するのよ。もー後でうるさいんだからね」

「お前が甘いんだよ。おら、サッサとスケジュール確認しやがれ」





蘭丸は自分が悪くないと言う顔で手を差し出す
私は納得いかない表情を蘭丸に向けながら
スケジュールが書かれている紙を蘭丸に渡した



今日から始まる兄貴のメール&電話攻撃にため息をついた








 
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