長編

□誕生日でしたけど?
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パーティーは想像以上のものだった
さすがシャイニングとでも言おうか
多くの有名人から監督、脚本家、作曲家と大勢の人で盛り上がっている

私は場違いな場所にいることは間違いない





「林檎さん・・・やっぱり」

「今更戻るなんて出来ないわよ!ここまで来たら楽しんだもの勝ちなんだから〜あんまり深く考えないで」




そうだ、此処まで来たら引き返せない
美味しいものをたくさん食べて、おなかを満たして帰ればいいんだ!




「わかった林檎さん!私、頑張っておなかを満たすことにする!」

「ん〜ちょっと違う気がするけど・・・亜弓ちゃんがそれで楽しめるならいいわ」



“私はちょっと向こうに用があるから”といってどこかに行ってしまった林檎さん
私は料理が並ぶテーブルに向かい綺麗に料理をお皿に盛り付け周りの風景を見ながら料理を堪能する
パーティーとはもっと貴婦人のような人たちが“おほほ”なだと言いながら
ダンスをしたりする思っていたが、洋画の見すぎだったようだ






「飲みのもはいかが?」




横からスッと差し出されたグラスに入ったシャンパン
顔を向ければ優しく微笑む男性




「おいしそうに料理を食べてるから、喉が渇いてるんじゃないかなと思って。迷惑だったかな?」

「いえ、ありがとうございます」




グラスを受け取りクイッとシャンパンを飲む





「あまり見ない顔だね。新しいモデルさん?」

「いえ、申し上げにくいのですがタダのスタッフなんです。親しくさせて頂いている方に誘われて」

「そうなの?かわいいからモデルさんかと思ったよ」




ススッと少しずつ近づいてきている気がするが
気のせいと言うことにしておこう




「そんな・・・勿体無いお言葉です」

「本当のことだから。ここであったのも何かの縁だよ」





気づけば壁に背中を預け、今流行の壁ドンをされていた
あっこれは今口説かれているのか?





「あの・・・困ります。離れてください」

「こういうのは馴れてない?かわいいね」






照れてるんじゃなくて、嫌がってるの!






「そうではなくですね・・・」

「パーティーが終わった後二人でまた飲みなおそうよ」




話を聞いてください!!
男性は逃がすまいと足で逃げ場をなくす
あぁーこんなことなら林檎さんにずっとついていけばよかった







「何してんだよ」




困っていると不機嫌そうな声が聞こえた
その声はいつもとは違いスーツに身を包んだ蘭丸だった




「黒崎蘭丸じゃないか、君には関係ないだろ?」

「そいつは俺のマネージャーだ。関係ないどころか大有りだ」




“オラ”と片手を私に向けて差し出す蘭丸
蘭丸のもとへを向かい後ろに身を潜める





「テメーのこと嫌がってたみてーだな」

「っ〜・・・チッ」



男性は舌打ちをしながら蘭丸を睨みつけ
そそくさとどこかへ行ってしまった  





「ありがと」

「んな格好してるから誰かわかんなかったぜ」

「変?」

「…そうはいってねー」




フイッと顔をそらしてしまった蘭丸
照れてる




「ぷっ。助けてくれて助かっちゃった、あの人会ってすぐあぁなんだもん」

「お前がカバみてーにバクバク食ってるからおもしろ半分で近づいたんだろ」

「誰がカバだって?私がカバなら蘭丸は豚ね、何でもかんでも口に入れればいいって感じだし」

「んだと」




私と蘭丸の間にバチバチの火花が散る
女の子に向かってカバみたいとは何よ
カバは可愛いが蘭丸の台詞は明らかに嫌みだ






「亜弓ちゃんじゃなーい!ドレスなんて珍しい!!」




私たちの睨み合いを止めたのは芸人アイドル(違う)の嶺二だった




「林檎さんが見繕ってくれたの」

「だいたい何があったのか想像はつくよ。林檎先輩は亜弓ちゃん大好きだもんね。それで?2人はなんで睨み合ってたの?」





嶺二に起きたことを説明していると
いつのまにか藍ちゃんとカミュも話に参加していた
説明し終えると藍ちゃんがため息をつく



「蘭丸も亜弓も子供みたいだね」

「藍ちゃんにそれを言われると…」

「美風の言う通りだな」

「うるせ」

「まぁまぁ!せっかくのパーティー何だから皆でたのしもーよー!!」

「レイジうるさい」「黙れ寿」「黙れ嶺二」




息ピッタリな三人の言葉に嶺二は大袈裟な泣きまねをする
この四人は本当に仲がいいな…。
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