長編

□仕事を1つに
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「それはそっちで!」

「はい!」




スタジオでの大道具運びやセットまでを先輩スタッフからの指示通りにこなしてゆく
この仕事をこなしていくお陰で少しのことで息が切れない体に鍛えられたら




「今日はカミュさんと蘭丸さんが共演だったわよね?」

「あぁ、また大喧嘩にならなきゃいいけどな…」





そうか、今日の収録はカミュと蘭丸の共演番組が
2人の仲の悪さは有名だ
タイプの違いすぎる2人だから仕方ないが、行きすぎるとスタッフの手におえないのだ





「カミュさんと黒崎さんはいりまーす!」




噂をすればなんとやら
スタジオに2人が入ってきた
だが、その時すでに2人は睨み合いながらスタジオ入りしたのだ
あー、恐れていた光景が今まさに





「俺がどれほど楽しみにしていたのかわかっているのか!!」

「はっ!!差し入れは誰のものなんて決まってねーだろうが!!!」




しかもなんて低レベルな喧嘩なんだろう
小学生……いや、幼稚園レベル




「この愚民が!!」

「んだと!!!」




2人のあまりの険悪なムードに周りのスタッフは口が出せないでいる
2人は基本、他人には厳しい人間だ
それがわかっているからこそ簡単に口出しできない

まったく……





ボカッ





私は2人の頭にゲンコツを容赦なくお見舞いした




「イッテ!何しやがんだ!!」

「クッ…愚民の分際で俺の頭を殴るとは」

「何とでも言いなさい。ここはもう仕事場なんだから喧嘩は後でにしなさいよ。あんたら大人でしょうが、喧嘩するならするで場をわきまえなさいってこと」

「「ちっ」」

「よし。カミュには今度何か作ってあげるから」

「そこまで言うのなら仕方あるまい。俺のために菓子を作らせてやろう」




カミュは私の言葉に納得し、今までの事がなかったことのようにセットに向かって行ってしまった
蘭丸といえばまだ納得のいかないというような顔で私を睨んでいた




「今度休みが取れたら牛肉使ったご飯作ってあげるから頑張ってよ」

「……2、3品だ」

「へいへい」




蘭丸もカミュと同じようになんとか納得し
カミュが先に向かったセットに向かったって歩いていった
とりあえず場のよどんだ雰囲気は戻った




「さすが人気アイドル4人のマネージャーを任されるだけあるな」

「慣れですよ。一年近くやってるとだいたいわかってきますよ」

「私なら無理だわ。カッコイイアイドルのそばにはいたいけど、あのパワフルさには負ける」

「亜弓ちゃんしかいないよ」





確かに私が慣れると同時に4人の仕事も増えてきているし
藍ちゃんも少しずつ顔出しの仕事が、増えますますスケジュールが埋まる一方だ





そうか、私の仕事はこれだ







 


「ということで、私はマネージャー業一つで行きたいと思います」

「まぁ、それが一番良いだろうな」

「ええ、何より他の人にあの4人を任せたら、その人が潰れそうで」

「確かに」





私は人気アイドル4人よマネージャー1つで行くことを決意した
理由などをはなすと社長は簡単にOKを、出した
これで少しは休みが増えるといいが……





「あいつらもおまえ以外のマネージャーは受け入れないだろ」

「まぁ、慣れた人間がやる方が一番いいでしょう」

「(それもあるが、一番はお前があいつらに好かれてるってことだろうが)」








雪野亜弓
これからは寿嶺二、黒崎蘭丸、美風藍、カミュのマネージャーとして頑張っていきたいと思います








 
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