長編

□グループ
2ページ/3ページ



「んだと!!!もう一回言ってみろ!!!」

「貴様はただの落ちぶれアイドルだと真実を言ったまでだ」

「も〜2人とも僕の為に喧嘩はやめてえ〜ん」

「気持ち悪いから止めてくれる?」




「…………はぁ」




いつものカオス状態




4人が集まれば必ずこれだ
カミュと蘭丸が大喧嘩を始め
その喧嘩に嶺二がいつものおふざけでさらに悪化させ
藍ちゃんは煩いのが気に入らず殺気立たせている


これは即座に社長秘書の決定か?




「はいはい、喧嘩は止めて私の話を聞いて!大事な話があるから席につきなさーい!!」

「うるせ!!コイツとけりつけてやる!」

「ふっ!貴様如きの愚民が伯爵に適うはずなかろう!」




小学生ですか…



言うことを聞かない2人の耳を私は容赦なしに引っ張り椅子に座らせる
2人はまだギャーギャー言っているがもう気にしない

とりあえず探りを入れてみるか




「なんであなた達2人は喧嘩ばっかりなの」

「コイツが俺の楽屋の差し入れを全然食べちまったんだよ!」

「だれも貴様の物などと決まっていないだろう。それを食べて何が悪い?」




喧嘩の原因も小学生




「藍ちゃんと嶺二もなんで止めてくれないの」

「こんな低レベルな喧嘩に関わりたくないよ」

「僕は頑張って止めようとシタよー?」


あれは止めようとしてたのか??
どう見ても余計なことしかしてなかったように見えたけど




「いつもそんなことで、これからデュエットのオファーとか来たとき仕事できるの?」

「俺は馴れ合いは嫌いだ。そんな仕事は初めからお断りだ」

「僕と同等のレベルでないと僕を引き受けないよ」

「同感だ…俺ほどの者など相当いないだろうがな」



こういう時だけ意見がピッタリなんだから



「僕は全然おっけーだけどね〜ん」

「じゃあ、グループのオファーが来ても?」

「「「お断りだ/断る/イヤだよ」」」





こりゃダメだ

意見をなかなか曲げない3人が此処まで頑なに言うのだ
グループの話なんて聞き入れるわけがない

4人に説得をする前に諦めた私は携帯を出し社長に電話をかけた



《もしも〜し!グループのお話はどーですかー??》

「無理ですね。なので私は諦めます。4人の新しいマネージャーさんの手配をお願いします」

《NO〜それはざんねんでーす、ですか仕方ありませーん!!!》

「いろいろ整理したいのでお仕事は明後日からでお願いします」

《おーけーおーけ!!たのみまーした!!!》


プツ


電話の内容を聞いていた4人は意味が分からないといった顔をしていた
当たり前か




「新しいマネージャーって、どういうこと亜弓ちゃん」

「あーえっと、実は社長から4人のグループ結成を説得してきてって言われてて。もしそれが出来なかった場合私はあなた達のマネージャーを下りることになっちゃって……」

「え!!?」

「説得出来なかったマネージャーの責任取れ!って…それで私は社長の専属秘書になることになったの」

「説得どころか話すら初耳だけど?」

「様子をみて話そうと思ってたんだけど、あなた達の意見を聞いてムリだと判断したの」



荷物を整理しながら口を動かしていて、4人がどんな顔をしているかわからない
4人の顔をみるのがツラいという理由もあったが…

4人のマネージャーをする仕事は確かに大変だった
だけど、この4人との毎日が楽しい時間でもあった
こんなに賑やかで慌ただしい日常がこの長年1人だった私には暖かくもあったから

だから本当は………



「新しいマネージャーさんに迷惑かけないようにしてよ?」

「……俺らに何も言わずにそそくさと自分の仕事投げ出すのかよ」

「……ごめんなさい。でも、会社をやめる訳じゃないからまた会えるよ!今までありがとうございました。」



ゆっくりとドアを開け
ゆっくりとドアを閉めた



結局最後まで4人の顔を見ることが出来なかった
泣いてしまいそうだった

明後日からの仕事を思うとははは……とから(笑)しかでない








 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ