長編

□気にしない彼
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ついこの間知ったとんでもないこと

それは、知り合った彼は人気アイドルだったことだ

  




その彼は今私の目の前でガツガツとご飯を食べている






「(本当にいいんだろうか…)」






私は一般人、そんな一般人の家でご飯をむさぼり尽くしているアイドル
こんな事がバレれば世間は黙ってはいないだろうに

そんなことは気にしないのか?






「……んだよ。」





私が視線を送っていたことに気づいた蘭丸は少し眉間に皺を寄せ私を見た






「いや、アイドルがこんな所でご飯なんて食べてていいのかなって」

「まだ言ってやがんのか」






まだって…
そんな人事みたいに

あたしは蘭丸のこと心配して言ってるのに

まぁ、マスコミとかに巻き込まれるのが嫌っていうのもあるけど





「人生とご飯どっちが大事なのよ」

「んなもん、選べるわけねーだろ」





コイツ正気か





「生きていくのに飯がなきゃ、死んじまうだろうが。だからって人生ダメにしたら飯も食えねー」





言ってることがまともすぎてムカつくな






「今このことがバレたら人生終わるかもよ?」

「バレなきゃへーきだ」






何を言ってもダメだ
私はそう確信した





「もういいか。」

「そんな気にすんじゃねーよ」





お前が一番気にしろ






「はぁー。で、今日は何の仕事してきたの?」

「今日は新曲のレコーディングだ」





こうやって、蘭丸と夕飯を食べながら仕事内容を聞くのが日課になっている

蘭丸はどんなに仕事が忙しくても、ほぼ毎日ご飯を食べに来てくれる
流石に泊まりの仕事の時は来ないが

蘭丸にとってはただ″ご飯を食べられる″という理由だけで来ているのだろうが


それでも、やっぱり誰かと一緒にご飯を食べるという事が嬉しい






「ソロ?」

「いや、今回は嶺二とデュエットだ。」






蘭丸の話で音楽のことに少しづつ興味を持った
後は蘭丸の事務所のことや、仕事仲間のことも覚えてしまった
″嶺二″って人は話を聞くところ、どうやらすごく賑やかな人らしい

蘭丸の話を聞くのはとても楽しい





 
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