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□1話
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薫side
(兄である俺の手を拒み、一族を虐げてきた人間を 庇うというのか・・・)
(千鶴、見るがいい。弱者はこうして
切り捨てられるしかないんだよ!)
―俺は、実の妹に対して、何を言っているんだ。
あぁ。終わった・・・心の蔵が・・・
これでやっと終わった・・・。
ごめん。千鶴。 もう少しだけでも、俺は、
生きたかった・・・。―
「生きたいか?」
―誰? そりゃぁ、生きたいさ。―
「お前は、まだ生きたいと願った。
その願い、叶えてやる。だがしかし、
対価が必要だ」
―対価・・・いいよ。俺に何を望む。―
「お前の対価は、この世界を去ることだ。
もう二度と、この世界に帰ってこられなくなる。」
―分かった。構わないよ。―
「では、次に目が覚めるときには、私たちの世界にいる。
またね。
”待ってるから”。
後でね。」