白の図書館

□管理人
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・・・ん?
やぁ、いらっしゃい。

はじめまして・・・いやひさしぶり、かな。

あまり“ヒト”と関わらないぶん、人の顔と名前とを一緒の覚えるのが、苦手なんだ。
すまないね。

じゃあ、はじめまして、っていうことで自己紹介してもいいだろうか?

まず初めに言っておくけれど。実はボクには記憶がない。

どこで生まれて、どこで暮らして、どうしてここにやってきたのか。
自分でも、よくわからないんだ。

けど、1つだけ、わかることがある。

ボクはここの・・・。この白い図書館の管理を任されているということ。

それだけは妙にハッキリとわかるんだ。

おかしいよね。

だからね。ここに訪れた人はボクのことをこう呼ぶ。

―――図書管理人(ライブラリアン)――― と。


君のことも、教えてくれないかい?

・・・うん。うん。へー。なるほどね・・・。
なるほど。君のことはなんとなくわかった。

なぜだろうね。今回は君のこと覚えていられる気がするんだ。


――え?なになに?

“ここが本当に図書館か”って?

それは・・・。

嗚呼、そっか。うん。なるほどね。

あ・・・。勝手に納得してすまない。

――君にはこの部屋が真っ白に見えるんだよね。きっと。

白くて、広くて、終わりのない・・・。

でもね、きちんと物語はここにあるんだ。

見えなくてもそこにある。

だからさっそく、物語を君に聞かせてあげたいところなんだけど・・・。

すまないね。そろそろ時間みたいだ。

物語りはまた今度。

何かあったらまたここにおいで。
ボクはいつでもここにいる。

次来たときは小さな小さな物語を、君に聞かせてあげるから。

じゃあ、また。
 

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