Dream〜SANJI編〜連載
□丘への道
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俺は、黒づくめの男達を軽く足蹴にして、ローブ姿のレディを抱き抱えて裏道をひた走り街並みから遠ざかった。
ふと、景色を見れば丘の上に赤い屋根をした石造りの家が一軒建っていた。
「お?…あれか?」
サンジはさっき聞いた爺さんの家が今丘の上に見えている家だと思っていた。
すると、ローブを目深に被ったレディが少しだけ顔を上げて丘の上を見ていた。
「レンネお爺ちゃんの家ね…。あの何方か分かりませんがあの丘の上の家まで送り届けて戴けますか?」
「えっ?!レディはあの丘の上の爺さんの知り合いか?」
何とも、偶然か…。
俺が行きたい爺さんの家が、助けたレディの知り合いだったとは驚きだ。
「昔、あの家で住んでいました。あの、貴方はもしかしてレンネお爺ちゃんにご用だったのですか?」
「ああ…。俺ァ、コックでね。爺さんのチーズを分けてもらいに行く所だったんだ…。」
「そうだったんですか。じゃあ、助けて頂いたお礼ってほどじゃ無いですが。お爺ちゃんに安くするように私から言いますね…。」
「そりゃあ…。ありがてェな。ん?この先の坂を左かい?」
「ええ…。左に行くと更に小さい両脇が石垣になった道が丘の上まで続いてます。」
「あ、有った。有った。後はこれを登れば良いんだな…。」
石垣の小路を上がれば、住居らしき建物が2つと小屋らしき建物1つが並んでいた。