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□期限付きの恋人
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『あと、2週間だね』


「せやなぁ」




屋上からこの景色を白石君と見れるのもあと少し。

私は2週間後に、
この学校を転校する。






『あと2週間で恋人解消だね』


「せやなぁ…」




手も繋がない、恋人らしい触れ合いもない3ヶ月間だけの期限付きの恋人。

それは転校が決まった3ヶ月前、私から持ちかけた話だった。

2年間の片想いを無駄にしたくなくて、好きになってくれなくていいからと泣きだしそうな私の想いに白石君が答えてくれて

私達は期限付きの恋人になった。






『少しは寂しい?』


「それは、な」


『そっか…』




これだけで幸せだなんて私はどれくらい白石君のことを好きなんだろう。


欲を言えば、一度くらいあの手に触れたい。

でも意地やプライドが邪魔をして、それを言えることはなかった。






「名字さん」


『なに?』


「名字さんはほんまにこれでよかったの?」




白石君が聞いているのはきっと期限付きって部分。




『これでいいから、こんな話を持ちかけたんだよ』


「そうか」




白石君は寂しそうに笑って、また空を見上げる。


好き。

気持ちは溢れてるのに言葉にはできないもどかしさ。


一緒にいたい。
触れたい。

私はいつも思ってる。




その時。

グラウンドから大きな声が聞こえてきた。

目を凝らしてみると、同じクラスの忍足君と知らない女の子。




『忍足君の彼女かな?』




白石君に訪ねると、白石君は笑って首を横に振った。




「あいつはうちのマネージャー」


『そうなんだ』






「あっ!」






グラウンドから響いた女の子の声。






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