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□ぽかぽか
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俺は立ち止まって前を歩く名前を呼んだ。
「お、俺温かいよ?
だ…だからさ……手繋がない?」
振り絞ってみたけど
恥ずかしさがピークで視線が定まらない上、
しどろもどろになってしまった。
しかも握手を求めるかのように手出しちゃって、俺のあほ!!
だけど、名前の表情はみるみる明るくなって
「うん!」
ダッシュでかけよってきたと思えば
「えっ?…っ!!」
抱きつかれてしまった。
「だって全身寒いんだもん。
温めてください」
あぁ
叶わない。
叶うわけがない。
近づけなかった君との距離がこんなに縮まって
俺の心も身体も
君でいっぱい。
「菊ちゃん顔も寒いなー」
「えっ?」
「なんだったら口も寒いなー」
「えぇええ!!!!!!!????」
もちろん
頭の中も君で埋め尽くされてしまうんだ。
fin*