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□理想の恋人
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『で、でもブン太は背も小さいしね』


「お前、俺だって傷つくんだからな。まだ成長中なんだよ」


『そうだよね。いつか真田君を追い越すんだよね』


「せめて仁王にしてくれよ」




仁王君なら後10センチくらい?
10センチも伸びるのかな?

ていうか、ブン太と仁王君の体重は同じだった気がするけど。




「怒るぞ。顔に出すぎ」


『ごめんね?』


「もっと心をこめろっ」


『ごめんなさい!』




ペコリと頭を下げれば満足そうにブン太が笑ってて、つられて私も笑ってしまった。






「ほれ」


『…はい』




差し出された手をもう1回握れば、さっきより少しだけ強く握り返された。

今までは緊張していたコレも今じゃ一番安心できるのはきっとブン太だから。




「名前」


『ん?』


「俺さ、ほんとに名前が好きだからさ」


『うん?』


「幸村クンみたいになれる気もしてねぇ」


『…うん』


「それでもずっと一緒にいてくんねえ?」


『…バカ』


「なんだよそれ」




ブン太は本当にバカだ。

私は幸村君が好きなわけじゃなくて、幸村君達に憧れてるだけなのに。




『一緒にいるよ!絶対に離さない』


「俺もだっての!…はぁーマジで緊張した」




結局、私達に似合うのはこういう恋なんだ。

幸村君達みたいな理想な恋人同士にはなれそうにないけどこんな関係が、こんなブン太が好きなんだ。




『美術館の後はオシャレなカフェでランチしたい!』


「人様は人様だっての。バイキング」


『太るよ』


「うるせー。太っても好きなくせに」


『うるせー大好きだ』










おわり
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