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□理想の恋人
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『本当にお似合いだよね、幸村君と彼女さん』




二人が並ぶだけでその場所がキラキラと輝いてる気がする。

お似合いな二人にはため息も出るもんだ。




「あの幸村クンが選んだんだから当たり前だろぃ」


『幸村君も大人っぽくて、彼女さんはおとなしそうな子で理想の恋人同士だよ』




それに比べて、私の横にいるのは赤毛でいつもガムを食べているような彼氏で。

あの二人を理想の恋人と例えるなら、私達は何に例えられるだろう。




「人様は人様だろ。ほら、ガムやるから」


『…ぅぐっ』


「帰んぞ」




当たり前に差し出された手を握れば、何となく憂鬱になってしまう。

私達には大人っぽさが足りないんだよね。

幸村君達を見てしまった後だから余計にそう見えるんだろうけど。






『幸村君達はデートどこに行くのかな?』


「また幸村クンかよ。確か先週美術館に行ったって言ってたな」


『美術館か。私達も行こうよ』


「行かねぇ。絶対行かねぇ」


『行きたい。絶対行きたい』


「あー…仕方ねぇな、分かったよ」




やったーとブン太の腕に自分の腕を絡めれば、ブン太はそっぽ向いてガムを膨らませた。

耳が少し赤い。
きっと照れてるんだ。




『ブン太クン』


「ん?」


『ありがとう』


「おう。俺って名前の彼氏だし?」


『お、おう』


「何でも叶えてやりてぇって思うんだよな」




今まで子供っぽさはどこにいったのか。

頼もしいブン太にドキドキしてしまって、絡めていた腕を放して顔を背けてしまった。





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