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□heart
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その隙に、すぐさま掛け声を出し、手を動かして封を開ければ













「…同じじゃな」

「…仁王私のことストーカーしたでしょ」


なんて危ないことを言うんじゃ。


だけどその気持ちもわかる。



何故ならお互いの手にはデザインの違う写真立てがあったから。



「いや、名前がよく二人の写メ撮るき、一枚くらい飾っておいたらいいと思っての」

「私は、仁王がこの前コレ気に入ってたからセットでって思って」


さらに封筒を渡されて
中を見れば二人の写真が一枚。

いい表情で、好きだと言ったものだった。


「ほぉ。
で、こんな大きなハートが書いてあるフレームにしたわけですか。
やっぱり大好きじゃのう、俺のこと」


木製の枠の右下に付いている大きな赤いハートの飾りを指差せば


「に、仁王だって、こんな可愛いフレームにして、私のことこんな風に思ってるってことでしょ!」


負けじと写真立ての花柄を指差され、返された。

だから


「そりゃあ、いつだって俺にとってお前さんは可愛い彼女様だからのう」


そう微笑んであっさり肯定してやれば

名前は黙ってしまう。



これは照れてる証拠。



「なぁ、
名前の方に入れる写メ今撮ったらどうじゃ」

そんな瞬間を収めたくて提案するも見事に却下。


まぁ、これで諦めたら男が廃る。



「あ!!」


宙を指差せば
その先を追いかけていく名前の視線。


サッと携帯を出して
顔を近づけ、おまけにピースサインまでつけて


゛カシャッ゛

と一枚。



「仁王!?」


「な?
サプライズ付きじゃろ」









似た者同士で
掴めない二人。

意地だって張るし
からかうのも日常茶飯時で
喧嘩だって多いけれど


やっぱり俺は
お前がいい。



「仁王消して!
絶対消して!」

「消しました、消しました」


「嘘ー!!
すぐしまったじゃん!!」

「可愛かったから大丈夫じゃって」

「嘘つき〜!
自分だけ決め顔してー!」




からかわれるのがお互い悔しくて
似てる部分も多いのに

他の誰とも違う


俺の心がこんなに動くのは
愛しいお前にだけ。






「なら、ちゃんともう一枚撮るか?」

「…顔赤いの治まったら考える」


「ふーん」

「……見ないで」

「見てないぜよ?」



そう、

こんな風にいじわるくしてしまうのも
愛しいお前だけ。



可愛い反応をするお前が
俺の心を乱すから。









fin *
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