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□ever
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『………』


「怒っておるのか?」


『…呆れてるの』




大きなため息をひとつ。




『帰ろっか』


「ああ…、そういやお前さん、今日アイツと約束があるって言ってなかったか?」


『あー…うん、断ったよ』


「なんで?」




我ながら意地の悪い質問だと思った。

答えは分かっとる。

きっと、名字は。






『仁王が放っておけなかったから』






いつか名字がアイツと付き合うようになったら、こんな時間を過ごせることはなくなるんだろうか。

コイツの性格からしてそれはなさそうだが、相手が俺に近付くなと言ったら?


きっと迷って、コイツは傷ついて…






「頭痛い」


『突然どうしたの?』


「お前さんのせいじゃ」






名字の恋は応援しているが会えなくなるのは嫌じゃ。

やはり、答えはひとつしかないんじゃないか?






「名字」


『なに?』


「俺と付き合うか?」


『はい?』


「イエスか」


『違う!思ってもないこと言うのはやめて』


「どうして思ってないって決めつけるんじゃ」


『仁王。私達は友達だよ。何があっても』






見透かされたような言葉。

名字は本当に…






「…信じとうよ。名前」


『私が仁王に嘘ついたことないでしょ?』


「ああ、知ってる」






名字が笑って、俺も笑う。


それは恋愛も、異性も越えた強いつながり。




いつか俺に踏み出す勇気が出たその時は

コイツと道を踏み外すのもいいのかもしれない。




そんなことをはじめて思った。








おわり
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