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□ever
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恋愛はゲームだ。

ただの暇潰し。


本気なんか
欲しいわけじゃない。








【ever】








最低だと叩かれた頬が痛んだ。

あの女を好きだったわけじゃない。

お高くとまった嫌な奴だったから、なんとなく罠にはめてやっただけ。


その結果がこれだ。






『いい加減、本気で好きな子見つけたら?』




濡れたタオルを手渡しながら、名字は苦笑いを浮かべていた。

タオルで頬を冷せば、ひんやりとした感触が少しだけ痛みを和らげる。




「そんなもんはいらんよ」




俺が本気になるなんて想像もつかんし、第一そんなもんは面倒なだけじゃ。




『でも、いつまでもこんな事してても仕方ないでしょ?』


「はいはい、名字センセ」


『仁王…』


「うるさいのぅ。俺なんか放っておけばいいじゃろ」


『…放っておけないよ』




困ったような表情の名字に少しだけ罪悪感が芽生えた。


偶然席が隣になり、気があった奴がたまたま女だっただけで、俺達の間には恋愛感情は一切ない。

それが楽で、俺は名字と一緒にいるんだと思う。






『仁王は目を離すと何するか分からないからね』


「アイツに勘違いされるぞ?名字サンは仁王クンが好きなのかって」


『そうならないように仁王も大人になりなさい』


「スミマセンデシタ」




名字が笑って、俺も笑う。

こんな時間がたまらなく好きだった。


名字を好きになっていたら、ずっとこんな時間が続くのだろうか。


毎日が楽しくて、こんなくだらないこともせずに、名字だけを…


いや、でも…






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