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□帰り道
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「…先輩はもうはしゃぐの禁止です。
ついでに…これを外すのも禁止ですから」

そう言って指を絡ませて、手を繋げばより一層赤くなる顔。



「うぅ…日吉がイケメンだー!!
無理無理!
ときめきすぎて無理ー!!」


「…なんですかそれ?
恥ずかしいからやめてください」


こっちまで赤くなってしまうじゃないですか。
褒められなれていないから妙に照れ臭い。



なのに

「日吉…手大きいね。
かっこいい」




ふいうち。



「っ!いいから帰りますよ!!」


赤く染まりそうな顔を見られないように、名前先輩の手を引いて、先導するように足早に歩き出せば



「えー!!
せっかく隣に並べたんだから堪能させてー!」

首を横にふって、一生懸命重心を後ろにかけてくる。


そんな可愛いことをされたら
勝てるはずなんてない。










本当に貴女は手のかかる人だ。


だけど、それさえも愛しいと思ってしまう俺も大概かもしれない。





「ヤバイ、日吉、どうしよう…私たちの身長差が萌える。
道路の影見てニヤニヤしちゃう」

「…俺はそんな貴女に萌えますよ」



ぶんぶん繋いだ手を振りながら
とても嬉しそうに歩く名前先輩に、
こちらから手を繋いだくせにだんだんと恥ずかしさが込み上げている現状で
その上、こんな発言までされたらたまったものじゃない。


そんな心のうちからつい出た言葉に



「っ!?
今、日吉萌えるって言った!?
レア!!レア過ぎる!!」


さらに目を輝かせて俺を見てくる。

「…あんまりそういうこと言うと今度は口塞ぎますよ」


開いた口が塞がらなくなるのを必死にこらえ、反論すれば


「えー!!
日吉がまさかの野獣発言!?」



さらに右ストレートをお見舞いされた。


野獣…今時使わないにもほどがある。



「…誰もそんなこと言ってません。
手で口塞ぐってことです」



頭を抱えながら訂正したけれど
トドメの一言。




「……ちゅーしたくないんだ」


「なっ!?」


だからどうしてそうなるんですか?




……でも、言ったのは貴女。





「あんまり…煽ると知りませんから」


「え…?」

「名前先輩がいけない」


「え…?
あれ?
日吉、顔がなんか近い…」



「……あんまり俺を甘く見ない方がいいですよ」



「わー!
ストップ!!ストップ!!
無理!
そんなカッコいい顔近くで見れない〜!」

「…なら…閉じててください」



「っ〜!
………やっぱり野獣」




「えぇ、名前先輩限定で」









そう、二人とも大概なんだ。








*fin*
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