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□帰り道
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貴女は本当に手のかかる人だ
*帰り道*
「ねー!見て見て日吉!!
桜すごいよ!」
名前先輩はそう言って手を広げながら落ちてくる桜を掴まえようと走り回っている。
付き合ってから毎日一緒に帰ってはいるけれど、先輩はずっと話しているか、今みたいに動き回っていて時々保護者のような気分になってしまう。
「先輩、危ないですよ」
車が来るかもしれないと注意を促してみても、聞く耳持たず。
「今、一枚取れたからもう一枚取れたら日吉にあげるね!」
逆に嬉しそうに微笑まれてしまった。
…いらないです。だなんて到底言えない。
だけど、それが甘かった。
「名前先輩!!」
案の定、滑って後ろに転びそうになる彼女が目に入り、咄嗟に手を伸ばして受け止める。
「だから言ったでしょう!」
どうしたらあんな綺麗に滑れるのか、危ないとこだったんですよ
そんなことを多々言ったが反応が何もなくて怒りすぎたかと
「先輩??」
顔を除きこめば真っ赤になっていた。
「名前先輩?」
不思議に思って再度名前を呼べば
「もー!!
日吉かっこよすぎ!
絶対顔赤いでしょ、私?
こうなるからいつも離れたりごまかしてたのにー!」
両手で顔を覆いながらそんなことを言ってくる。
…じゃあ、さっき落ち着きがなかったのは恥ずかしかったから?
ずっと話していたのは、どうしたらいいかわからなかったから?
……まったく。