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□pain
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「あー、頭痛っ」


ほんとは頭より痛い場所があって


だけど、それは言えなくて、ごまかす言葉だけが口を出る。



「はぁ…」



なんで、俺、こんな相手を好きになっちまったんだろ。



瞼も思考も重くなり
いっそこのまま後片付けをバックレて帰ってしまおうか
そんなことを考えていたら




「…痛いの痛いの飛んでけ」






暖かくて柔らかい感触を頭に感じ
懐かしいフレーズが耳に入ってきた。


驚いて勢いよく顔を上げれば

「痛い?
アイスノンいる?」



やっぱり声の主は名前先輩で、あの暖かなものは頭を撫でていてくれたんだと思い知る。



「…アイスノンより…今の…もう一回」


言ってすぐに後悔した。

何言ってんだよ!
せっかく優しくしてくれてんのにまた調子に乗るなって言われてしまう。
そんな思いが頭を駆け巡り

「あ、ちが」

訂正しようとすれば


「痛いの痛いの飛んでけ」

ふふっと微笑みながら 名前先輩は呆れることもなく、怒るでもなく
何度も頭を撫でてくれる。




「期待してるからみんなスパルタだけど頑張ってるのはわかってるよ。
2年生一人なのに凄いし。
偉いよ赤也は」



その微笑みはあの表情に近いもの。


もう無理だった。












「赤也!?」

撫でてくれる名前先輩の腕を掴み、おもむろに抱き締める。


ずっとこうしたくて

ずっと近くにいきたくて






やっと、捕まえられた。
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