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□pain
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あんたの心が手に入らないなら
俺はあんたを―
*pain*
「名前先輩ー。
なんとかしてくださいよ、お宅の彼氏」
ハァと溜め息と共に日誌を書いてる彼女の前に座る。
「遅刻したのは赤也でしょ」
なのに、こちらも見ずにこの返事。
「副部長の鉄拳ほんっとに容赦ないんすからね!」
あー、痛ててと大げさ気味に自分の頭を撫でながら名前先輩を見れば
顔を上げた先輩とようやく視線がぶつかった。
「それだけ怒ってるってことなんだから反省しなさい」
喜んだのも束の間で
使っていたシャーペンの押す部分を額に押し付けられ、グリグリと動かされる。
「…1分だけだっつーの」
まったく優しくない対応が面白なくなくて、俺は呟くように一言吐き捨て、机に突っ伏した。
「1分でも遅刻は遅刻」
…しっかり聞こえてるし。
名前先輩は真田副部長の彼女。
最初はあの副部長に女がいるのが信じられなくて、どんな物好きな奴だよ
なんて、ただの好奇心だった。
なのにマネージャーをしている名前先輩と触れあう時間が増えるほど、目で追うようになって
こうやって絡んでしまう日々。
だけど、何をしてもダメ。
口説くように接しても
褒めて持ち上げても
優しくしても
副部長に見せる表情には出会えない。
むしろ、今みたいに説教か
うまい具合に流されることの方が多くて
何がそんなに、違うのかサッパリわからねぇ。