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□for you
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「亮の物貰えるのは私の特権だもん!!
ちょー悔しい!」


そう嫉妬。

泣くかと思いきや
拳を握りしめながら怒り出し


「返してもらってくる!!」


なんてことを言うもんだから
つい吹き出してしまった。


誰に渡したかも知らねぇのに
なんつー、勢いなんだよ。


「亮〜!
元はと言えば亮が!!」

そんな俺の反応に不満そうに声を荒げてきた名前に着ていたブレザーを脱いで肩に羽織らせる。



「亮?」

不思議そうな名前に何も答えず、次はネクタイを外して手に持たせれば


「亮?どーしたの?」


俺がおかしくなったのかと思ったのか名前はうってかわって大人しくなり俺の手を握りしめてきた。


そんな名前の額にでこぴんをひとつ。



「いたっー!」

「変な心配してんな。
俺の気持ちはお前にしか向いてないんだから何の問題もないだろ?」


だからそんな顔してんな。


「…そうだとしても彼女的には複雑なの」


…粘りやがる。


まぁ、俺が考えなしにやっちまったのが悪いんだよな。


しゃーねぇ、頭下げて返してもらってくるか。


そう、決めた矢先に


「でも好きって言ってくれたら許す」


期待満々の目と
罰ゲームかと思うようなお願い。


言うの苦手だって知ってるくせに。


「いや、今返してもらってくるから」


じゃあな!
と手を頭脇に上げて、逃げるように駆け出そうとすれば

「あー酷い
全部くれるって言ったのにぃ…」


耳に突き刺さるこの言葉。



たまらず


「大好きだっつーの!!!!」



叫んでた。






真っ赤な俺と

微笑むお前。




悔しいけど

仕方ねぇだろ?


お前が悲しむくらいなら
お前がそれを望むなら


なんだって叶えてやりてぇと思っちまうんだよ。




「亮、私も大好きー!」

「ちょ、馬鹿叫ぶな!
…ってなんでおぶさってんだよ!?
普通こういう時前からだろ!?
ってどっちだとしたってみんな見てるっつーの!」


「先に好きって言ったの亮だもーん。
卒業おめでとー!!
このまま宍戸カップル卒業凱旋出ー発!」

「おめでとう今かよ!?
ったく、現金な奴だな…
落ちんじゃねぇぞ?
凱旋には行かねぇけど、このまま校門まではエスコートしてやるよ」



そう

こんなクサイ台詞も行動も

お前が喜んでくれるなら
悪くない。









*fin
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