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□for you
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お前が望むなら

俺はどんなことだって―









*for you*







「亮ー!
第2ボタンちょうだい!!」


卒業式が終わって、駆け寄ってきたと思えば名前の第一声はこれ。

しかもわかりやすく両手を伸ばして、満面の笑み付き。


普通、お互い卒業おめでとうが先じゃねぇか?なんて思いつつ

「わかってるっつーの」


散々言われてたため、先に外しておいたボタンをポケットから取りだし名前の手の上へ置けば


「ありがとう!!」

あまりにも嬉しそうに握りしめるもんだから、こっちの頬まで緩んじまう。



なのに、そんな時は束の間。

すぐに名前の表情は変わってしまった。



「…亮、他のは?」


しかも、スゲーテンション下がってるしよ!?

他が示すもの、それは残りのボタン。


「あー…
なんか、マネージャーやら後輩やらが寄越せってもっていった」

どーだ?
意外とモテるだろ
なんて、得意気に笑ってみせるも
さらに表情が暗くなっていく。


「…ちなみに他には何かあげたの?」


隠すわけにもいかず、その問いに正直に答えれば


「信じらんない!
なんでジャージあげちゃうの!」



見事に怒られた…。




ほしいとか言ってなかった
高校じゃ使えねぇだとか
ボロかったからと
いくつも理由をあげたけど、一向に名前の機嫌は直らない。

終いには泣きそうになってしまい俺は慌てて


「第2ボタンが一番だろ?
他はおまけみてぇなもんだって」


肩をポンポンと叩いてフォローしてみても


「…絶対その子着る」


さらに小さい声が返ってきてしまう。


「そしたら四六時中亮の匂いに包まれてさ…」



いや、洗濯したから俺の匂いなんてしねぇから!
って突っ込んでも無意味。



何をそんなに落ち込むことがあんのかわかんねぇー…。


だけど
その答えはスゲー単純だった。
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