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□トライアングル
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「お前も懲りん奴やな」


「ハハッ。いつもすまんな」


「もう慣れたわ。きっと名前も」




何だかんだ言って白石を放っておくことはできんのやろ。


白石の気持ちに気付いとらん
名前。

気付いている俺。


白石が何を考えて俺達とおるのかは分からんが、
気付いてないフリをするに越したことはないと思う。






「今回は何で別れたん?」


「ああ、好きやなかったから?」


「いっつもそれやんか!」




それなら付き合わなくてもええやんと思うが、俺がそんなことは言えへん。

白石は名前が…






「…なあ、謙也」


「何や?」






思わず息を飲むような

白石の視線が絡み付く。






「名字さん、くれへん?」


「は?」






白石は何て言うた?

名前をくれって?


いつもの冗談かと思うたが白石の目は真剣で。






「し、白石…冗談きっついわー!無理や無理!第一名前が」





『私がどうしたの?』





いつの間にか試着室から出てきた名前は白いワンピースを着て、俺の後ろに立っていた。




『謙也どう?似合ってる?』


「名字さん、めっちゃ似合うてるで」


『白石に聞いてない。…謙也?』


「あ…うん。似合うてる」




瞬間、名前の顔がパッと明るくなり満遍な笑みを浮かべた。




『これ買う!もう少し待ってて!』




駆け足で試着室に戻る名前を見送ると、白石から笑い声が聞こえてくる。

視線をやれば、白石は俯き肩を震わせ笑っておった。






「やっぱ最高やな!俺、名字さんがめっちゃ好きやねん」


「………」






笑いながら言う白石に頭は働かなかった。

白石が名前を…

分かっていたとは言え、とうとう言葉に出してきた。

俺の彼女を好きって、
俺は何て答えればええ?






「白石…」
「すまんな、謙也」






諦める気はないと

白石の真剣な表情が物語っている。




それは

今まで保たれていた何かが崩れ始めたサイン。








つづく…?

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