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□Time
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どうしたら
貴方に伝わるんだろう






*Time*






「名前、おいで」


この言葉が合図。

私は、膝を立てて座っている侑士の足の間に入り、座椅子に座るかのように寄りかかる。



「ええ子やな」

満足げに微笑む彼に、私も微笑みを返した。




部活のない休日。
侑士の部屋で過ごす私達。



だけど、今日はいつもとちょっと違うんだ。


「侑士、チェンジチェンジ」

彼の腕を軽く叩いて
アピール。


「ん?名前どないしたん?」

「あのね、今日は私が後ろがいい!」


「なんや、急に。
別に重くないから気にせんでええよ?」



そう言って再び頭を撫でてくる。


んー、違うのになぁ。


「そうじゃなくて、私も後ろからハグしてみたくて!」

お願いと両手を合わせて再チャレンジ。



「…なら、ちょっとな。
名前が潰れたら困るし」


少し考えてたみたいだけど、そう言って立ち上がり


「おじゃまします」


いつもと逆の体勢に私達はなる。




侑士の温もりが前面に広がって、髪が頬にあたってちょっとくすぐったい。

力をいれてくれてるのかあんまり重くないし。


ご満悦な私はそのまま腕を前に回し、さらにくっつく。


「座り心地はどう??」

「柔らかくていい感じやな」


「…脂肪です」


「ええやん、俺は好きやで。
名前の柔らかいとこ。
触りたくなる」


こんな風に、と頬を二、三度指でつつかれた。

きっとこんな物好きなことを言ってくれるのは世界中を探したって彼だけだと思う。



「私も侑士が温かいから触りたくなるよ」


だから今、とても幸せ。




なのに

「ほな、終わり」

あっという間に起き上がる彼。

「早くない!?って、あれ?」


あまりの早さに私も体勢を起こして引き止めようとしたけど

彼は一度立ち上がり、私に向き合う形で再度座り直したのだ。
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