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□ココロに咲く花
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あまりにも心許なく話すから
俺は後ろから先輩を抱き締めた。

そして、慌てる先輩を余所に、耳元で話始める。

しっかりと、届くように。




「後悔したくないからです」

「後悔?」

「明日もしかしたら、名前先輩にふられちゃうかもしれないじゃないですか。」


明日もしかしたら事故に遭うかもしれない
明日もしかしたら先輩に好きな人が出来るかもしれない
明日もしかしたら……


そう考えるとキリがなくて

「だから思ってること全部伝えたかったんです」


いくら言ったって足りないけれど
伝えても伝えても後悔するだろうけど

「俺、本当に名前先輩のことが大好きなんですよ」


貴女を思う気持ちは溢れるばかりだから、少しでも多く届くようにたくさんの言の葉を紡ぐんです。


なのに

「チョタ意外にネガティブだね」


思ってもみなかった返答。
だけど、落ち込むよりも先に


「でも、嬉しい。
私もこれからは伝えるようにする。
チョタが……大好きですって」


視界に飛び込むのはこちらを向いて
照れくさそうに微笑む先輩の笑顔。

あぁ、もう…
我慢なんて無理でしょう?




「名前先輩!
なんて可愛いこと言うんですか!」

「チョタ!?
だからみんないるって!
抱きしめすぎ!!」

「みんな花火見てるから大丈夫です。
むしろこんな可愛い先輩俺以外に見せたくないんですけど」


誰にも渡したくない
俺だけの大切な人。



「嬉しいし、チョタに抱きしめてもらうの好きだけど、帯が崩れちゃう!」


あぁ、神様聞きましたか?
素直な先輩の凄まじい破壊力に俺は負けそうです。


「後で直してあげますから今はこのままで…今とっても幸せな気分で離せません」


好きな人に好きだと言ってもらえる幸せ。
何か月ぶりかの好きは格別すぎる。



なのに


「……ねぇ、チョタ…でもね、私もチョタのこと抱きしめたいよ?」



まだ、こんなご褒美をもらえるなんて。


ゆっくりと抱きしめていた腕を緩めれば、体を反転させ、横向きで座る名前先輩。



「チョタ、いっぱいありがとう。
大好きだよ」


そして、感じる温もりに
俺の頬は緩みっぱなしになりました。







伝えたいことがたくさんあって

貴女といると何かもが幸せで

俺は笑ってばっかりなんです。



だから

いつまでも聞いててください。

俺が紡ぐ気持ちを

貴女への愛の言葉を



この花火よりも大きな想いと共にー










*fin
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