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□無愛想彼氏
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ほんとに

ずるいなぁ。





*無愛想彼氏*








「……たるんどる」

「…大変申し訳ありません」



さっきからこのやりとりを何度繰り返しただろう。

放課後貧血で倒れて、保健室へ運ばれた私のベッド際で、部活中なのに駆けつけてくれた真田に怒られるのは仕方がないことだけども…。


ずっと私の手を握りしめ、己の額につけて呟く真田がいつもよりずっと儚げで、逆に心配になってしまう。



「あのね、ちょっとフラッとしただけで、今はもう平気だよ?」


ほら!
と手は握られたまま、起き上がろうとするも

「まだ休んでいろ」

肩を掴まれ、再び横にさせられる。


うーん……困った。

「もう少ししたら病院にいくぞ。
俺も付いて行こう。」



び、病院!?
いやいやいや!
大袈裟!大袈裟過ぎるよ真田!



「……辛くないか?
どこか具合の悪いところがあるならすぐに言え」

なのに、あまりにも心配そうに私を見つめてくるから不謹慎だけど嬉しくなってしまう。


「ありがとう。
でも、本当に大丈夫だよ」



「…………ならば、あまり心配させるな。
倒れたと聞いて…心臓が止まるかと思った」


ー幸村のように
そう続くような気がした。

あの日から真田は体調に煩いから。


「大丈夫。
真田を一人になんてしないよ!」

ずっと一緒だと言ったでしょう?


「名前が言うことはあてにならん」

フッと笑いながら
さりげなく失礼なことを言う。


反論しようと思ったのに


「だから俺が守り抜く。
その約束も、お前のことも」


真っ直ぐ私を見つめて
そんなかっこいい不意打ちに
言葉なんて出てこない。



「疲れているんだろう?
今はゆっくり休めばいい」


疲れているわけじゃないのだけれど
ここまできたらもう甘えてしまおう。

「真田が愛の言葉でも囁いてくれたらゆっくり寝れるのになぁ」


なんて、さりげなくおねだりも混ぜてみたりして。
どうせ叶わなくても言うのはタダだし!

でも、期待の眼差しを向ければ
案の定視線を逸らされた。
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