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□カラフル
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そしてラストはテニスコート。


「相変わらず下手だな」

「そりゃ、跡部さまには追い付けません」



久しぶりのラリー。
悪態ついても返しやすい球を打ってくれるからやっぱりにやけちゃう。


たくさん写真も撮れたし満足だと思っていたら


「名前!」

呼ばれてネットまで近づけば
ラケットを私たちの顔横に位置付け
見えなくするかのように持って



今度は唇にキスをされた。



もちろん、シャッター音も聞こえて。



「見本は教科書だったが、俺らはこのほうが"らしい"からな」


そのまま強く抱き締められてしまえば
なんだかずっと貴方のペースなのが悔しくて



「…教科書は見えないからドキドキするのに。
ラケットならほぼわかっちゃうじゃん」



精一杯の反撃は

「ばーか。
さっきも言ったがな、見せてんだよ」


あっけなく撃沈し
2度目のキスでもう何も言えなくなるの。






貴方はいつも先を歩いていて

一生懸命追い掛けるけど
いつも不安で



だから形に残したかったの。

貴方とここで過ごした証を。



私はちゃんと隣にいたんだって証拠を。






「満足かよ、お姫様?」

「…大満足です…」


だけど、この温もりに勝る証なんてない。


私だけが堪能できるこの温もりを失わないように
まだまだ景吾の傍で鍛練しなくちゃ!

胸を張って、景吾は私のものだって言えるように。









なんて決意したけど……






「いやぁああああ!
やめてーー!!」


「ようこんなん学校でやったな」

「見ろよ、この跡部すっげー笑顔だぜ」


「うっわ!ほんとだ!
お前の前ではこんな顔してんのな」


「えー、俺も混ざりたかった。
跡部のけちんぼー!」

「幸せそうでいい写真ですけど、よくこんな大きく引き伸ばして見せてくれましたよね」

「はっ。二人きりの時のコイツはもっと幸せそうな顔をしてるがな」

「…さすが、跡部さん。精神の強さが違う」


「景吾のバカー!よりによってなんでテニスコートのやつを!!」






後日のテニス部部室では
一枚に編集された写真(テニスコートでのキス写は中央で最大サイズ)を
引き伸ばし、氷帝メンバーに配り、ご満悦そうな跡部様と

羞恥心で叫びまくる名前さんの姿があったのでした。



「でも、そんな俺様が好きだろ?」


「うっ………好き」


「俺は愛してる」







ちゃんとわかってる。

貴方といれたから
貴方がずっと愛してくれてたから

私の中学校生活はいつだって
キラキラ輝いてたんだって。



そう目も眩むくらい
カラフルな輝きで−















*fin
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