王泥喜受け

□王泥喜の妄想(5について)
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「...おデコくん」

牙琉検事はある検事の部屋を開けた

部屋の主は顔をあげる

牙琉検事の顔を見て眉間にしわをよせて答えた

「なんのようですか」

「そんなに嫌な顔しなくてもいいじゃないか」

「オレは忙しいんですよ」

牙琉検事は彼の顔を見つめる

ツノにオデコ、彼は間違いなく

新人弁護士、『王泥喜法介』

この間まで検事と弁護士として法廷で会っていたのに
牙琉検事は苦笑する

「ねぇおデコくん。どうして検事になったんだい」

「...またその質問ですか。飽きないですねアンタ」

「知りたいんだ。...君のことを」

「オレの何をですか」

王泥喜検事はあざ笑うように笑った

「あの事件のせいなのかい?」

「...なんのことでしょう」

「君は...目的があって検事になったんだろ?」

「...さぁなんのことだかわかりませんね」

「答えるつもりはないってことかい」

「もしあったとしてもアンタに教える必要はない」

「確かに。僕はあの場所にはいなかったしね」

王泥喜検事は書類に視線を戻す

「でも、目的がないなら君はココで検事なんてやらない。あの人から離れてさ...」

『あの人』その言葉に王泥喜の肩がゆれた

「成歩堂龍一、君の憧れる人」

「...」

「あの人のため?自分のため?どうなんだいおデコくん」

「成歩堂さんは関係ない」

「自分のためってことかい?どうしてあの人を裏切ってまで」

『裏切る』その言葉に王泥喜は顔をあげる

酷く感情のない顔

その顔に牙琉検事は一瞬ひるんだ

今までの熱血はどこへいったのか

『王泥喜法介』は爆破と共に死んだ

そう考えてならない牙琉検事

彼の前にいるのは『王泥喜検事』であり『王泥喜法介』ではないのだ

王泥喜検事は立ち上がり

扉の前に移動しドアを開ける

「お帰りはこちらです。牙琉検事。そろそろお仕事がお忙しいのでは?」

「...ま、その通り。忙しいからね。今日は帰るよ」

牙琉検事は王泥喜検事を見つめ

笑顔もこぼさず、とても悲しそうな顔をして

部屋をあとにした







牙琉検事が部屋をでる

悲しそうな顔がオレの心に突き刺さる

やめろ...そんな顔をしないでくれ

フラフラと歩き

椅子に倒れるように座り込んだ

『裏切った』

そう言われたとき

驚いた

やっぱりまわりからはそう見えるんだな

♪〜〜〜

携帯が叫ぶように音を出す

「もしもし」

絞り出すように声をだす

「オドロキくん」

相手の声を聴いて王泥喜は身体に力がはいる

「成歩堂さん」

「どうだい、検事は。つらいなら帰ってきてもいいんだよ」

「大丈夫です!オレ頑張りますから」

「そうかい?」

裏切ってない

オレは...


「そうだ。おやつがあるんだけど食べにこない?」

「いいんですか?」

「もちろん。君は家族なんだから」



王泥喜と成歩堂はかつてない強敵と戦うために、検事、弁護士となった。

全ては成歩堂のために

全ては王泥喜のために

全てはこの世界のために


「行きます!!」

そう叫んだ彼は

王泥喜検事ではなく

王泥喜弁護士だった

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