短編
□れいん。
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一聖。
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「あ。」
雨。
…天気予報で午後から雨って言ってたから持ってきてみたらまじだった。もってきてよかった。
たまには天気予報も信じてみるもんだ。
靴を履いて外に出る。
…あ。となりのクラスの女子。
傘ないのかな。
ずっと空を見上げている。
女子は空から目を離すと、こっちに気づいたのかハッとして俺を見てくる。
ペコッと頭を下げてきたので俺も一応下げ返す。
さて、帰ろう。
傘をさして、歩く。
雨がピチャピチャと音をたてる。
俺は雨が嫌いだ。
ズボンの裾が雨で濡れるし。
気分的になんか下がるし。
いろいろ考えながら帰っているとふとコンビニに目がつく。
お腹すいたし、と思ってコンビニに入る。
店のなかをぐるっと一周してるうちに、雑誌売り場の横のカッパや傘などを見つけた。
あの女子、帰れたのかな。
…ここから学校まで別に苦な距離でもないし。
俺は傘を買ってコンビニを出る。
今来た道を引き返していく。
学校につくと、まだあの女子は雨宿りしていた。
よかった。まだいた。なんて思ってしまう。
「忘れ物?」
「あ、いや…これ。」
俺は傘を差し出す。
「…え?いいの…?」
「うん、」
するとその子は素直に受け取り、傘をさす。
「ありがとうっ」
にぱっと笑う。…かわいい。
「じゃあ…ばいばい、一聖くん。」
ばしゃばしゃと音をたてながら走っていく。
…………なんで俺の名前。
…ま、いいか。
"たまには雨も悪くない"
END_