短編

□けしごむ。
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※学生注意


*




苗字名前さん。

俺の好きなタイプをそのまま形にしたような子。

美人で学級委員で頭良くて,運動神経も結構いいのにドジ。

そのため,みんなから慕われている。

友達が特に多くもなく,頭もそんなに良くない俺とは大違い。

話す機会もなく,1回も話したことがないという現実。

隣の席になったから話せるかも。とか思ってたけどやっぱ無理だなー

こういう時だけ出てくるチキンな性格。

いらねーときに出てきやがる。


……ってあれ。

やべ,消しゴム忘れた。

昨日珍しく課題したらこれだ。

課題とかしなきゃよかった…

後で一樹にでも借りるか…

この1時間はシャーペンについてる消しゴムでやりくりするか…

ま。授業中に消しゴム使うのとか落書き消したりするだけだけど笑

落書きを消すためにシャーペンで頑張って消し消しする。

やっぱこんなちっちゃいのだったら消すの大変だな笑


「あの…よかったら消しゴム,使いますか?」

…え。

顔を上げると隣の席の名前さんがこっちを見ていた。

え,貸してくれんの?

「…いいんですか」

「はい,私のでよければ」

「…あざっす」

やべえ。

名前さんが俺に消しゴム貸してくれたんだけど。

テンション上がる。

消すとこちょっとしか出てないから出させてもらうか。

…え,ちょっと待って。

消しゴムに一聖って書かれてるんだけど。え。

なにこれ。

好きな人の名前書いて最後まで使い切ったら恋が叶うってやつ?

…んなわけねえよな…話したこともないし…


とりあえず見なかったことにしよう。

さっさと消して返そう。


「あの,消しゴムあざっす…」

「いえいえ,どういたしましてっ」

名前さんはニコッと微笑んで授業に集中する。

…次の休み時間にさっきの消しゴムのこと,聞こうかな


キーンコーンカーンコーン


授業が終わったと同時に皆が席を立ちザワザワしだす。


「あの…」

「はい?」

「さっきは消しゴムありがと、」

「いえいえ。」

「でさ…消しゴムに書いてた俺の名前って……」

思わず挙動不審になってしまう。

「み,見たんですか!?」

「…たまたま、」

「……………」

「……………」

「気になってました。初めて見た時から」

「は?」

思わずは?とか言っちまった…

「よかったら仲良くしてください」

「え…あ,うん…」

「では失礼しますっ」

名前さんはそう言って女友達のところへ行った。

…両思いってことか?これ

…嬉しい


キーンコーンカーンコーン


あ。

一樹に消しゴム借りてねえ!

ま,いっか。






いつか告白…、


できたらいいな




END_


⇒あとがき



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