短編
□たまには。
1ページ/2ページ
今、彼女の名前ちゃんが僕の家に遊びに来ている。
僕たちはいつもデートするときは外。
名前ちゃんが、「たまには外じゃなくてお家でデートしたい」とのことで今日は家。
外は人がいっぱいいるからまだまし。
今日なんて家だよ…!?
勿論家に誰かがいるはずもない。
二人っきりだ。
名前ちゃんは天然で、何をしでかすかわからない。
隠してあるえっちな本を見つけてくるかも。
あるいは、僕の理性が…なんてことも。
「ねぇねぇ淳くん。」
「なーに?」
「お腹すいたー」
言われてみればもう7時だ。
そろそろみんな御飯を食べてる時間だよね。
「名前ちゃん、何か食べたいものある?」
「んー…」
名前ちゃんは2分ほど考え込んだ
「淳くんが作るものならなんでもいいっ」
…なんて可愛いんだこの子は。
「じゃあ簡単だけどオムライス作るね。」
材料を冷蔵庫から出し、卵を割り、かき混ぜる。
ふんふふーん♪
と鼻唄を歌いながら作っていると、いつの間にか背後に名前ちゃんが立っていた。
僕は「うわっ!」とだらしない声をあげ、驚いた
「私も手伝う」
「えっでも…名前ちゃん料理…」
そう、名前ちゃんは料理が大の苦手。
前にクッキーを焼いてくれたんだけど、真っ黒でプスプスと音をたてていたくらいだ。
「だ、大丈夫だよ?; 名前ちゃんは座ってて?;」
「やだ。手伝う。手伝うったら手伝う。」
「しょうがないなぁ〜;;」
名前ちゃんは頑固。
一度やるっていったものはとことんやる。
なので、一番簡単なサラダでもつくってもらおう。
サラダなら真っ黒焦げになる心配はないだろうし…。
「じゃあサラダ作ってくれる?レタスとかちぎればいいだけ。」
「うんっ!」
あっ、嬉しそう。
まぁなんやかんやでオムライスとサラダ完成。
「私がケチャップで書くから淳くん座ってて。」
と言われたので、僕は先に椅子に座っている。
何書いてくれるんだろっ。
「淳くんお待たせ。」
コトッと音をたてながら置かれたオムライスを見ると、「だいすき」の文字が。
「名前ちゃんっ…!」
「ん?何?」
「大好きって…!」
「それがどうかした?」
…そうだこの子天然だった。
「淳くん早く食べよ?」
「そうだね」
「「いただきます」」
ぱくっと一口食べると、卵が口のなかにふわっと広がる。
やっぱり、大切な人と食べるご飯は美味しい。
「外も楽しいけど、お家デートもいいね。」
「次はメンバーも呼んで食べよっか。」
「いいね。」
たまにはこういう日も悪くない。
END_
⇒あとがき