鬼灯

□地獄大一番/シロ、日々勉強
2ページ/2ページ

ー 非常警報!非常警報!等活地獄より亡者が一名逃亡。直ちに全獄門も封鎖してください。繰り返します… ー

鬼灯と視察をしていると八大地獄中に大音量の放送が流れ出した


「鬼灯様ァァァァァァ、この新人がうっかりワンセグを持ち込んで…悪霊サダコが投げました!!」

鬼灯と焔が立ち止まっていると獄卒の一人が茄子の頭をつかんで連れてきた

ーガンッー

鬼灯が軽く1発

「新人研修でちゃんと注意したはずですよ!そうでなくても何かする時は報告・連絡・相談!」
「もっ…申し訳ございません…」

鬼灯はまだ茄子の顔に金棒をゴリゴリ押し当てている

「あとワンセグから逃げるって…どんだけガッツのある亡者なんですか」
「すっごいがんばったんだね…」
「サダコ…あの亡者はテレビさえあれば逃げるのです…」

と、鬼灯がぽつりと呟く

「えっと、この近隣のテレビ画面全てお札で封印してくださいっ!」

少し考えてから焔が指示を出す

「あと、すっごい画素数のテレビをここに設置してください」
「ブルーレイ内蔵52型あたりですかね」




ーーーーーー


ブルーレイ内蔵52型テレビを設置し、電源をつける

するとサダコがテレビから出てきた

「ほら、甘いエサに釣られてノコノコやって来ましたよぉ」

サダコがテレビから出てくると獄卒達がテレビの回りを囲んだ

「くっ…くそっ…おのれ謀ったなっ…かくなる上は貴様ら鬼の角全部折ってやる!腹いせに!!」
「日本中を震撼させた割にやることがせこいよ」
「うるさい!女のタタリは蛇の千倍と思い知れ!覚悟!!」
「焔さんっ!!」

鬼灯が叫んだ時には既に遅く、サダコが焔に向かって襲い掛かり、焔はその衝撃に備え、目を固く瞑り頭を抱え込んでいた

「っ!!」

ーギュオーンー

「?」

予測していた衝撃は無く、何かが飛ぶ音が聞こえ目を開ける

「シロちゃん!」
「ギャァァァァァァ、何こと白い犬!超怖い!」

焔に襲い掛かったサダコはシロに捕まりガブガブと噛まれていた

「よくやりましたよ、シロさん。B級ホラー洋画の狼男みたいで素敵な登場でした」
「はいっ、鬼灯様」

鬼灯がシロの頭を撫でる

「っ…ぅっ…」
「焔さん、平気ですか?」

しゃがんだまま小さく震えている焔に鬼灯が近寄る

「は…はぃっ…」
「そんなに怖かったんですか。桃太郎さんの時みたいに戦えば良かったじゃないですか」
「基本食べられないものは殺さない主義なんですっ…だからあんまり戦ったりしたことがないのでっ…」

固く閉じられた目から涙が溢れる

「どこの美食家ですか、貴方は…。でも、無事でよかったです。これからは、危険だと思ったら逃げてください。わかりましたか?こちらの心臓にも悪いです」
「っ…はい…」



ーーーーーーー

「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」

ベンチに座って鬼灯から缶ジュースを受けとる
鬼灯と同じ果肉入りのブドウジュースだ

「これを飲んだら仕事に戻りましょう」

鬼灯はそう言うとジュースの缶を手の上でぽんぽんと振り始めた

「んっと…」

焔もジュースを飲みきったのかポシェットの中身を漁り始めた

「あった!よいっしょ…よいっしょ…」

ポシェットから取り出したのは缶切りとパフェを食べる用の長いスプーン

「…そのポシェット…ド●えもんの四●元ポケットみたいですね。缶切り借りてもいいですか?」
「はーい、どうぞー」

鬼灯に缶切りを手渡す

「さぁ、お仕事頑張りましょうー」

と、空になった缶をゴミ箱に思いっきり投げ入れた
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ