クダ主♀

□わけがわからないよ
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「忘れちゃったんだ。

 あーんなに、甘い夜だったのに」

「は?、……え?」
何言ってんだコイツ、という混乱と、自分が何かとんでもない間違いを犯してしまったのではないかという恐怖がノアの中で同時に沸き起こる。


「それどういう……」
「いいよ、ポッキーゲーム してくれたら 教えたげる」
「……」

ポッキーゲームといえば、2人が両側からポッキーを食べて……というやつだった筈だ。 確か。
かなりの確率で、訳も分からないままファーストキスが奪われてしまうだろう。
……しかし、さっきクダリの言っていたことが本当なら、自分はもっと大切なものを喪失してしまっているわけだ。
だとすると、今更ファーストキスを守ろうとするのは無駄なのではないかと、ノアは混乱した頭で考えた。

それならば、自分の状況を確認するのが優先だ、とも。

「どうするの」
クダリはそう言ってポッキーをくわえなおすと、これ見よがしに上下させてみせる。

ノアは迷った。

意味不明なこの状況をなんとか理解したい気持ちと、比較的親しいクダリが相手とはいえ、ポッキーゲームなどしてしまうのはふしだらだ、と自分を律する気持ちがせめぎ合う。


しかしその内、余裕そうなクダリを見ていると何だか悔しくなってきた。

巷では負けず嫌いで通っている(?)自分が、勝負に乗らないなんて――。 とも思えてきた。


「そっ……その勝負、乗りましたッ!」

恥ずかしさを振り払おうと高らかに宣言し、ノアはクダリのくわえるポッキーの反対側の端に食いついた。


続く
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