クダ主♀
□おマヌケさんのHoney Trap
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――あの、私……貴方程単純で精密な機械って無いと思うんです。
違う?
そんなわけないです。
だって、貴方程人間にそっくりなアンドロイドなんて、他には貴方のお兄さんしか居ませんから。
「ノア、ただいま。
あれ? 寝ちゃってる??」
寝たふりですよ、とネタばらししたくなるのを押さえていれば、彼はわざとらしい含み笑いをして。
それとは逆さまに、気配だけが私に近づいた。
「……」
静かな部屋には、秒針の音と彼の微かなモーター音が聞こえるだけ。
しばらくすると、私の顔を覗き込もうとするようにモーター音が移動した。
「ノア〜、た〜だいま」
煩い、と私に言われないように潜めたロボ声が最初と同じ言葉を喋る。
――余程おかえりなさい、って言って欲しいんですね。
私が答えずそのままでいると、今度は少し、私の髪を弄った。
「……寝ちゃってるね、うん」
――結局、彼は私に騙されたみたい。