クダ主♀

□お持ち帰り
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(そうだ、ノボリに相談しよ)
早速ライブキャスターのメール機能を開き、兄宛の相談メールを送信する。

真面目なノボリが対処法を知っているかはかなり怪しかったが、3人寄れば文殊の知恵なのだ。 2人でもそこそこだろう。


しばらく後、ノボリから返信が来た。
神の助け! とばかりに意気揚々とメールを開いたクダリだったが、内容は以下のようなものだった。

《さぁ……?人間の女性のことはよく解りません。
 ただ一つ確実に言えるのは、何時もの貴方のように「据え膳喰わぬは…」などと思ったら犯罪者です。絶対》

「うわ、ノボリ絶対冷たい目してる」
絵文字など一切交えない兄からの無愛想なメールを読み終えて、とりあえずクダリはそう呟いた。
そして添付ファイルに気づいたので開けてみると、邪魔するなと言わんばかりにシャンデラとノボリの仲睦まじい2ショット写真。

「リア充爆発しろ」
自分にしか聞こえない呪詛の言葉を吐き、クダリはそっとライブキャスターを閉じた。


「……」
クダリは再びノアに目を戻した。
高級マンションは防音も完璧で、外の音はほとんど入らない。
静まり返った部屋では歯車形の時計の秒針の音と、ノアの寝息がはっきりと聞こえる。

クダリはノアの無防備な姿に釘付けになり、うぶな中学生のように心臓をドキドキさせていた。

喰べちゃいたい、でも犯罪者になりたくない、と相反する気持ちがせめぎあう。
そんなことは露知らず、ノアは眠ったまま。

次第に手を出したい気持ちが勝っていき、ついにクダリはどうにでもなれと思いながらノアをそっと抱き締めた。
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