クダ主♀

□わけがわからないよ
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わけがわからないよ、という言葉がこんなに似合う状況があるなんて、ノアはほんの30秒前まで思っていなかった。

「……何なんですか、それ」
「ん? ポッキーだよ」

目を醒ました瞬間に飛び込んできたのは、自分に覆い被さってポッキーをくわえたクダリ。

彼がポッキーをくわえている理由も分からないが、そもそも自分がこの部屋のベッドに寝ているという状況が、ノアにはわけがわからない。


「ポッキーは分かってます。
此処は何処なんですか?」
ノアの問いにクダリは一瞬だけ貼り付けた笑みを消し、すぐにまた笑い出した。

「あててみて」
可笑しくて堪らない、といった具合に、クスクスという圧し殺した笑いが後に続く。
因みに、未だ彼はノアに覆い被さったままなのでノアには周囲がまともに見えない状況である。

「……」
そんなことを言われても、見当もつかなかった。
判らないです、と一言言うと、クダリはまたあの笑い声の混じった声でこう言った。

「昨日のこと、覚えてないの?」
「は?」

昨日、と言われても、何故だか全く記憶がない。
夕方までは覚えている。
確か妹のミネルヴァに、失踪したというNを捜索しにいくという旨を、ライブキャスターで伝えたのだ。

その後からはよく分からない。
記憶らしい記憶といえば、ギアステーションに行ったこと位だった。
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