クダ主♀
□お持ち帰り
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ソファの上でくたりと姿勢を崩し、ふわふわした長いポニーテールを下に垂らして眠りこける少女を、クダリは困った表情で見つめていた。
「ノア、ノアってば」
小さく囁くように少女の名を呼び、そっと肩を叩いてみる。
勿論そんなことで彼女の目が醒めることは無かったが、クダリのほうもそれほど本気では無い。
手を引っ込めると、彼女の細い首が痛まないように自分の肩に凭れさせてやった。
(どうしようかなぁ)
自分に凭れるノアの髪からほんのり漂う、シャンプーかリンスの甘い香りを感じながら、クダリは天井を見上げた。
数時間前、BP稼ぎにダブルトレインに乗っていたノアをお持ち帰りしたはいいが、美味しく頂くところが彼女に夕飯を作って貰ってしまった。
季節丸無視の南瓜の帽子にドクロのTシャツとパーカー、更にホットパンツというファンキーかつラフな格好だった為、軽い娘だとクダリは勝手に思っていたが、とんだ見当違いだったらしい。
幾らプレイボーイのクダリでもこんな娘とワンナイトラブするのは流石に申し訳なく思ったので、
せめて送っていってやろうと時計を確認すると、既に23時を回っていた。
「……うわ、遅い」
このまま泊めてしまうのもアレだが、こんな時間に叩き起こして外に放り出すのも忍びない。
それに幾らノアが地上のチャンピオンでも、更に強い者はわんさかいる。 危ない目に遭わないとも限らなかった。
「……」
クダリは黙りこくって考える。
風呂にも入らせてやりたかったが、家族親戚でもない者が未成年にそんなことを言うのは不味いだろう。だの、
常に笑っている(そういう顔なのだが)自分は輪をかけて誤解されやすいに違いないだろう、だの。
モテる彼は自宅に女の子を泊めたことも多々あるが、こんな一歩間違えば犯罪者になるような状況は初めてであった。