□妹達0〜7000号
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[一方通行]


「もっと上を目指してみたくはないかい?
君ならそれができる」


その言葉を信じて名無しは大きく首を縦に振りながら返事をした
(今思えばそれが始まりだった…)



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名無しは今までいた施設を出て別の施設に案内された

表向きはクリーンなゴミ処理場だったが、いざ奥まで入ってみると大きな研究施設だとわかった


「君には今から実験を見学してもらうから」

「実験ですか?」


首をかしげながら自分の担当研究者に疑問を投げ掛ける


「ああ、ちょっと危ないけど手を出さないでいてくれれば見るだけで終わるよ
でもちゃんと考えてみるんだよ?そうじゃないと見学の意味がないからね」

「あの、どんな内容の…」


そこまで言いかけると奥の扉からこの研究施設の研究者と黒い服を着た白髪の男性と思われる人が歩いてきた


「強化因子(フォリナー)の担当者ですか?」


まずあちらの研究者が尋ねながら歩み寄ってくる

<強化因子>とは名無しの能力のことだ、その名の通り様々なものを強化することができる


「ええ、もちろん!あなたは今回計画の?」

「そうですそうです!いやこの度はどうも」

「いえいえ、こちらこそ」


二人の研究者が社交辞令のような会話をしていると、ゆっくりと気だるそうに白髪の人物が目の前に立った


「(すごい…目が赤い)」


遠目からではわからなかったが目の前の人物はとても風変わりな外見をしていた

脂肪などついていないのではないかという細い体に白い髪、そして目も赤い

アルビノと呼ばれるものではないかと疑ってしまうほどだ


「では世間話もほどほどにして」


目の前の風変わりな人物に目を取られていると向こう側の研究者が姿勢を正して本題に移ろうとする


「こちら『一方通行(アクセラレータ)』、今回の計画の主役です」


一方通行というのがこの人物の能力名ということだ


「(学園都市の第一位…)」


名無しもさすがに聞いたことはある

学園都市の能力者の一番上に立っている人物がこの人、そんな人物が目の前に立っているということが驚きだ


「ほう、そちらが」


名無しの担当研究者が一方通行を見る


「いいから、さっさと実験でもなンでも始めようぜェ、いい加減待つのも疲れたンだわ」


そこで一方通行が会話を断つように言った

名無しが来るまでの間にそこそこの時間待たされていたようだ


「それもそうだ、今日は第一次実験しかないとはいえ早いに越したことはない」


向こうの研究者がそう言いつつ通路を進んでいく、ついて来いということだろう

少しこれから起きることに緊張しつつも名無しはその後を追った
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