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□第零章
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∽零章∽
僕は君より恵まれてはいなかった
君を取り巻く環境が少し羨ましかった
それでも君は
何故か楽しそうではなかった
まるで何百年も生きた亡霊のように
哀しそうな瞳を持っていた
僕はなんとなく嫌だった
このままだと君が死んでしまうと思った
だから助けようとしたのに
何も出来なくて。
気が付いたら君が僕の事を
変えてくれてたんだ
でも君の瞳も生きていた
世の中の新しい見方をしていた
同じ世界でも、こんなに違うこと
もう一つの景色が見えた
“another bew”
* *
そこには何もなかった。
きらびやかなものは全て薄っぺらくて、剥がしたら中身なんかなかった。
繰り出される毎日を唯々諾々と過ごす世界。
足並みを揃えていないと不安感を抱く人々。
俺は皮肉を込めてそれを《自由な世界》と呼んでみた。
どこで何を間違えたんだろうか。
あれ、何のために生きてるんだっけ?
俺が居なくなったら誰が気が付くかな。
誰も気付かないで世界はいつも通り回るかな。
悲観的な俺の心を解したのはお前だったんだな。