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□第三章
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第三章
八重苳はぼんやりと歩いていた。
どんどんと寂れた景色になっている。
俺は既にここが何処だか分からなかった。
さらさらと彼女の髪をかきあげる風は俺の髪もなびかせる。
俺は何がしたいんだろうか。
謎だらけの彼女に興味でもあるのだろうか。
――俺に限って。
――ああでも、既に俺という人間を俺は理解できていないんだった。
そっと彼女と後をついていくうちに、砂漠のような場所に出た。
恐ろしいほどの殺風景に放り出されそうな感覚が襲いかかる。
非現実なこの風景に飲み込まれそうで――つっと頬を横切る風が鋭く感じて。
前を行く彼女が急に遠い存在に思って。
その殺風景に足を踏み入れたら帰れない気がして。
そう、つまりは俺は急に怖くなったのだ。
彼女はどんどんと先に進んでいるが、俺は踵を返して今来た道を帰っていった。
「……なんて寂しく……、空しいのでしょう」
そんな声が聞こえた気がする。
眼の端でふわりと赤茶色の髪がなびいた。
赤い太陽が傾いていた頃。