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□第四章
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「もー、恭輝のやつ……」
咲胡はきょろきょろと辺りを見回して呟いた。
「どこ行ったんやろな?
補習受けてないから、ここでサボってっと思ったんになー」
屋上に恭輝を探しに来たのだが、誰も居なかった。
「最近の恭輝、なに考えてんだか分かんないわ……」
それは紛れもなく本音だった。
ずっと彼は周りを冷酷に見て、何にも興味を見せなかった。
でもそれが最近、かなり増した気がする。
周りに何も気を回さなくなって……
「なのに……なんで前よか楽しそうに見えるんやろか」
まるで何かを追い求めるような眼。
それに、さらに咲胡に興味を持たなくなった。
そう考えたら、一層虚しくなって。
「もー、恭輝のやつ……」
二度目の一言の後に、馬鹿、と小さく呟いた。