紫に染まる

□お菓子よりも甘い
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「アララ〜?美紅ちん何食べてるのー?」



「あ、敦くん。チロルチョコだよ。さっき友達にもらったの。」




突然上から気だるげな声が降ってきたと思ったら敦くんだった。

きっとお菓子がなくなってしまったんだろう。




「まだたくさんあるし敦くんも食べる?」


「食べる〜!!」




そう言って目を輝かせながら頷く彼にこっちも嬉しくなる。





「じゃあ美紅ちん食べさせて〜。」



「え?自分で食べなよ。」


「いーじゃん。手が汚れる〜。」





私の手は汚れてもいいんですか敦くん。






「もうしょうがないなー。」





包装紙をペリペリと剥がして敦くんの口元にチョコを持っていく。





「はいどーぞ。」



「んーありがとー。」









パクっ



















「っ!?ちょ、敦くん!?」






彼はチョコだけでなく私の指ごと口に入れた。







「んー甘いね〜。」






そのままペロペロと指を舐める。







「あ、敦くん‥‥‥‥!やめっ‥‥。」






制止しようと思った途端に口を塞がれた。


二人ともチョコを食べたあとだからすごく甘い。




「あ、あつッ‥‥‥‥く‥‥。」




苦しくて少し口を開ければその時を待っていたかのように入り込んでくる敦くんの舌。










なんか妙に甘い。と思ったらドロッとしたものが敦くんの方から流れてきた。


これ、チョコだな‥‥。








「ッは‥‥‥‥。ごちそうさま〜。美味しかったよ、美紅ちん。」




「もう!敦くんのバカ!!」





もうチョコの甘さなのかなんなのか分からなくなってしまった。




ちょっとむすっとしていると









「でも良かったでしょ〜?」







なんて言ってヘラっと笑った彼にまんざらでもなかった私は何も言い返せなかった。

















どんなお菓子よりも、

















キミが好き。

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