紫に染まる
□妖精?いいえ、狼です。
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今日は久しぶりのオフなので敦くんのお家に遊びに来ています。
まぁ隣同士だから全く珍しいことではないしむしろいつも通り。
出かけるのもいいかなーと思ったけどせっかくの休みだしのんびりしたいねっていうことでお家デートとなった訳だ。
「はいこれお母さんが買ってきてくれたヤツー。」
「あ、これウワサのケーキじゃん!やった〜。」
「美味しそーだね。」
「いただきまーす。」
「じゃあ私もいただきまーす。」
2人はパクッとケーキを口の中に入れた。
「わぁ!スッゴク美味しい!!」
「うん。おいしいねぇ〜。」
敦くんすごく幸せそうな顔して食べてるなー。
なんか可愛い。
なんて思ってると、彼の口元にクリームが付いていることに気づいた。
ここで、ちょっとしたいたずら心が湧いてしまった私はスッと敦くんに顔を近づけてクリームをペロッと舐めた。
「敦くんクリーム付いてたよ?」
してやったり顔で私がそう言うと
「……美紅ちん。」
「え?何敦く……。」
ドサッ
私が彼の名前を呼び終わる前に視界が反転して
目に写ったのは天井と私を見下ろす敦くんの顔。
「あ、敦くん?」
「美紅ちんが悪いんだからね。」
と言って敦くんは私にキスをする。
しまった、と思ってももう遅い。
毎日部活三昧でそういうコトはご無沙汰だったわけで……。
どうやら私は敦くんのスイッチを押してしまったようだ。
「ケーキもいいけどやっぱり美紅ちんが欲しいし。」
なんて言うもんだから抵抗することをやめて彼を受け入れる私はやっぱり敦くんが大好きなんだと思った。