夜のサスペンス
□日没のサスペンス
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メール着信あり(前編)
――会社の昼休み
昼食中、携帯のメール着信の音が鳴った。
私はすぐにポケットから携帯を取り出して誰からなのか確認した。
発信者は私の妻からだった。
何の用だろうと思い、内容を確かめてみると……
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あなた、確か今日は帰りは早かったでしょ
だからちょっと頼みたい事があるの
駅前の『立花クリーニング店』に寄ってクリーニングに出していた物を取って来て欲しいの
忘れないでお願いね♪
PS:それから、あなたが帰ってからお話ししたい事があります
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――なんだよ、頼み事なら直接電話かけてくればいいじゃないか!
わざわざメールで出す事でもないだろうに……
と、思ったが
よく見ると用件文の後に何回も改行が入っていて、その先には……
『それから、あなたが帰ってからお話ししたい事があります』
……なんて書いてあった。
――お話しがある?
お話しって何だ?
気になるじゃないか!
一体何を話すって言うんだ?
も、もしかして……
あの事がバレてしまったのか?
以前に残業だと偽ってキャバクラ『ぴんくバニー』に通っていた事か!?
それとも……
一年前、私が怪我をして入院した時に担当してくれた美人看護師と、退院後も暫くの間プライベートで付き合っていた事がバレてしまったのか!?
まさか!
今の妻と結婚する前に付き合っていた元カノと偶然街でバッタリ出会って、そのまま温泉旅行に行ってしまい
二日も家を空けてしまった事がバレたのか?
……いや、この事に関しては、急な出張が入った事にして何とかごまかしたはずだ。
……いゃ、まてよ
もしかして、あの事か?
そ、そんな事は無いっ!
それとも、あの事か!
ちがう、ちがう、ちがう、ちが〜う!
……や、やっぱりあの事なのかー!?
やっぱりちがう、ちがう、ちがう!
絶対バレるはず無いっ!
しかし、もしバレていたら……
ちがう、ちがう、ちがう、ちが〜〜う!
うわぁ〜〜っ!
一体どーしたらいいんだぁ〜〜っ!
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
勤務時間が終わり、私は帰宅途中に駅前のクリーニング店に寄って、仕上がり品を受け取ってそのまま帰路についた。
そして……
私は自宅の玄関前に立っている。
昼間のメールの追伸が気になっていた。
心拍数がどんどん上がっていくのがわかる。
――お話しって何なんだよ!?
どんな顔して会えばいいんだよぉ〜っ!
私は自宅玄関前でドアを開けるのを躊躇っていると玄関の中に明かりが点いてドアがゆっくりと開いた。
【後編Aに続く】
【後編Bに続く】