夜のサスペンス


□夕闇のサスペンス
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怨霊が出る!?









 ある日の休日……



今、僕はクラスメイトの仮住まいの家に遊びに来ています。

どうして仮住まいなのかと言うと彼の家は現在新築中で、暫くの間はこの借家に住んでいると言う訳です。

当然ですが彼の家族も一緒に住んでいます。


【祐也】
「しかし、お前も色々と大変だな」

【孝史】
「まぁ、暫くの間だからな…… 家が建つまでの辛抱だよ」

【祐也】
「それにしても、この借家ってかなり古そうだな」

【孝史】
「築後50年くらいは経っているらしいよ
それに、俺たちが出て行った後は取り壊しが決まっているらしい」

【祐也】
「へぇー、そうなのか?」

【孝史】
「……それとな」

【祐也】
「ん!? まだ他に何かあるのか?」

【孝史】
「実はな…… 大きい声じゃ言えないけど…… 出るんだよ、アレが」

【祐也】
「出るって!? ……ま、まさか?」

【孝史】
「あぁ、そのまさかだよ!
しかも、ソレが出た後には必ずと言っていいほどラップ音がして悪寒がはしるんだ」

【祐也】
「えっ、それって逆じゃないのか?
普通ラップ音の後に出るんじゃ……」

【孝史】
「そうかも知れないけど…… とにかく、出るんだよ!」

【祐也】
「僕、すぐに帰らせてもらいます!」

【孝史】
「こらー、帰るなー!」

【祐也】
「うぐっ!」


僕は孝史に首根っこを捕まれて帰るのを阻止されてしまった。

その時ちょうど孝史の部屋に、彼の母親が飲物とお菓子を持って入って来た。


【孝史の母】
「いらっしゃい♪ 祐也君
ゆっくりして行ってね」

【祐也】
「あ! は、はいっ! おじゃましてます」

【孝史の母】
「今は借家だけれど、新しい家が建ったら又、遊びにいらしてね」


そう言って、孝史の母はニコニコしながらトレイをテーブルに置いて戻って行った。


【祐也】
「なぁ、いつも思うんだけど……
お前の母さんて、綺麗で羨ましいよな」

【孝史】
「そうなのか?
しかし、慣れてしまうと何とも思わなくなるよ」

【祐也】
「そんなもんなのか?」

【孝史】
「そんなもんだ!
それより、さっきの話だけど……」

【祐也】
「もうその話はいいよ!
僕がそう言うの苦手な事知っているだろ!」

【孝史】
「まぁ、そう言わずに」


そう言って孝史はテーブルの上に置かれた器からクッキーを一つ摘んで口に放りこんだ。


【祐也】
「だけどお前、よくこんな怨霊が出る様な所で平気でいられるな」

【孝史】
「慣れればどうって事はないよ」

【祐也】
「そんなモン慣れないよ! 慣れたくないよ!」

【孝史】
「まぁそう言うなって!
いつでも出るから、どうって事ないよ」

【祐也】
「いつでも出るのか?」

【孝史】
「いつでも出るよ! 試してみようか?」

【祐也】
「た、試さなくてもいいよ、ヤバイよ!」

【孝史】
「まぁ、そう言わずに……
特にテレビの画面なんかによく映ったりするんだよ」

【祐也】
「まさか、砂嵐に混じって変な声が聞こえるとか?」

【孝史】
「それは無いな」

【祐也】
「砂嵐の中から青白い手がにゅ〜っと出てきて……」

【孝史】
「それはちょっと恐いな」

【祐也】
「ま、まさか、画面の中から髪の長い女が這い出て来るとか……」

【孝史】
「それはS子さんだな」

【祐也】
「ぅ〜、自分で言ってて鳥肌が立ってきた」

【孝史】
「お前って本当に恐がりだなぁ」


そう言うと、孝史はテレビのリモコンを手に取って電源ボタンを押した。


【祐也】
「ぅぅ〜〜っ!」


僕は何が起こるかわからなかったので、おもいっきり身構えた。


【孝史】
「ほら、みてみろ! 怨霊が出たぞ!」


僕は、恐る恐るテレビの画面を見てみた……


……すると
そこに映っていたモノは?







オンリョウ
>>>>----------------








【祐也】
「……………………」

【孝史】
「な、出ただろ音量が」

【祐也】
「だは〜〜〜〜〜っ!
あ〜の〜な〜〜っ!」

【孝史】
「楽しそうだな祐也」

【祐也】
「楽しすぎて涙が出るよ!
……それじゃあ、ラップ音とか悪寒がはしるっていうのは?」

【孝史】
「試してみるか?」

【祐也】
「もう、好きにしてくれ」


孝史はリモコンの音量(大)のボタンを押した。

すると間もなくバタバタと騒々しい音が聞こえてきた……


【祐也】
「ぅ、ラップ音か!?」

【孝史】
「来たっ!」


一瞬の沈黙の後
部屋のドアがゆっくりと開いて、孝史の母が入って来た。


【孝史の母】
「孝史ちゃ〜ん!
お母さんいつも言っているわよね?
ご近所迷惑になるから、テレビの音量をあまり上げちゃ駄目って……」

【孝史】
「な、言っただろ、お母ンが走るって……」

【祐也】
「……………………」

僕は完全に固まってしまった。

【孝史の母】
「今夜はお仕置きね……
うふふふっ! 今夜が楽しみだわぁ……」

【祐也】
「ぅう〜っ! 何か別の意味で恐いぞ!」

【孝史】
「なぁ、祐也お前も今夜一緒に参加するか?」

【孝史の母】
「あら、祐也君も参加してくれるのかしら?」

【祐也】
「え、遠慮しときます!」

【孝史の母】
「そぉ、それはとても残念だわ……」

【祐也】
「……や、やっぱり恐い」











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音量が出る!?/END
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