夜のサスペンス


□夕闇のサスペンス
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ノロイノビデオ!?





ある週末の夜、もうすぐ日付が変わろうとしている時刻に友人から一通のEメールが届いた。
僕はすぐにそれを開いて確認してみるとこんな事が書かれていた。

今日、物置の整理をしていたら呪いのビデオが出てきた。
一人で見るのは怖いから一緒に見てみないか?


……というような内容だった。

「おい、ちょっと待てよ、呪いのビデオってなんだよ! 悪い冗談は止めてくれよ!」

と思ったが、今更ビデオかよ!
そう思いつつも半分興味本意、半分恐怖心な複雑な気分だった。
仕方がないので僕は明日にでもその友人の家に行ってみる事にした。
早速その旨を返信して今日は眠りについた。


翌日になり、朝食を済ませた後に友人へ一通の電話を入れた。

「なぁ、ところでその呪いのビデオってもう見たのか?」

僕は単刀直入に訊いてみた。

『ぃゃ、まだ見ていない』

「……まぁ、そりゃそうだよな。モノは呪いのビデオなんだしな」

『だって、俺一人呪われるのは嫌だからな』

「それなら見なきゃいいじゃないか」

『そりゃそうだけど、でも何が録画されているのか興味あるじゃないか』

「しかしなぁ、本当に呪いのビデオだったらマジでヤバいだろ」

『だーかーらー、お前に来てほしいんだよ!』

「なにぃ、僕を呪いの道連れにする気かよ!」

『そんなこと言わないで来てくれよー!』

「……わかったよ、これから行ってやるから待っていろ」

そう言って僕は電話を切った。


そして僕はあまり気乗りしないまま友人の家へと赴いた。
暫くして友人の家に到着すると、すぐに物置小屋に案内されて早速例のビデオテープを見せてくれた。

「それが例のブツか?」

僕はそのビデオテープを手にとって見る。
白いケースに入ったビデオテープの背表紙にはタイトルシールが貼ってあったが、頭の一部分が剥がれて無くなっている。
残っているシールには『ノロイノガゾウ』と書かれていた。

「確かに"呪いの画像"と読めるが、何で片仮名なんだ?」

「さぁ…… 知らねー」

「知らんて、何だよ! ところでお前、デッキはあるのか?」

「無い!」

「無いんかーい!」

と、ツッコミをいれたが友人はすぐにこう答えた。

「デッキも物置にあった」

「そ、そうなのか」

友人は物置に入ってビデオデッキを持って出てきた。

「随分古そうな物だけど動くのか?」

「さぁ、わかんねー」

「まぁ、ものは試しってやつだな」

早速僕たちはビデオデッキとテープを部屋に持ち込み、テレビにケーブルを繋いでデッキの電源を繋いだ。
時刻表示が"00:00"の状態で点滅を繰り返している。

「一応電源は入るみたいだな」

「じゃあ早速見てみるか」

「なぁ、本当にこれを見るのか?」

僕はその白いケースに入ったビデオテープをケースから引き出した。するとそのテープは巻き戻しされていない状態だった。

「このテープ巻き戻されていないぞ」

「じゃあ巻き戻してから再生だな」

「ぃゃいゃ、それはそうだけど、これって録画してそれっきりって事じゃねーの?」

「録りっぱなし状態ってことか」

「そうだよ、つまり誰も見ていないってことだよ!」

「でも、前に見た人がただ巻き戻ししていないだけかも知れないよ」

「そ、そうかも知れないけど、やっぱり何かヤバくないか? 再生するの」

「お前は心配し過ぎだよ」

そう言って友人はビデオテープをデッキに挿入した。
テープはスムーズにデッキの中へ吸い込まれていった。
友人はそのままデッキの巻き戻しボタンを押す。
「ウィーン」とメカニズムの作動音がして、FLディスプレイのリアルタイムカウンター表示がマイナスに加算されていく。

「一応デッキは正常に動作しているみたいだな」

僕はFLディスプレイの時間表示を眺めていた。

「……なぁ、テープの巻き戻し妙に遅くないか?」

「確かに遅い気がするな」

友人の言う通りデッキの中のテープは巻き戻されてはいるようだが、タイムカウンターの回転が妙に遅かった。

「やっぱりこれはノロイノビデオかもな」

「何だって?」

「巻き戻しが(のろ)いから鈍いのビデオだ!」

「何じゃそりゃー!」

「ぃゃ、何でもない」

「……はぁ〜」

僕は何とも言えない脱力感に見舞われた。

そうしている間にもデッキはまだ巻き戻し動作をしている。
更に暫く経ってやっと巻き戻しが止まった。

「やっと止まったか。ではいよいよ再生するぞ」

「ぉ、おう!」

僕は緊張して身構えてテレビ画面を見守った。

そして、テレビ画面に映った映像は?




[続く]
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