夜のサスペンス


□SPECIAL
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七夕SPECIAL 2012
・MILKY WAY 3・









――七月七日


この日は天の川を挟んで年に一度、織姫と彦星が逢う事の出来る日……


そして今宵は二人して天空の街でデートをする?










「彦星さまぁ〜!」

「やぁ、織姫!」

「やっとお会いできましたわ、一年間は長うございました」(もー、しっかり待ってるじゃないの! 別に来なくてもイイのに)

「僕もだよ! 織姫」(あー、来ちゃったよ、もしも来なかったら即刻帰ろうと思っていたのに)

「ねぇ彦星さま、今日は何処へ連れて行って下さるのかしら」(ぁ゙〜めんどくさいわー)

「そうだな…… ポラリスなんかどうだい?」(まぁ、手頃な所でごまかしておくか)

「あら、嬉しいわ!」(ダッサー、どーせならもうちょっと気の利いた所に連れて行ってよ)


こうして二人はコズミックライナーに乗ってポラリスへ向かった。

ポラリスというのは、こぐま座商店街に面しているポラリス大通りの事で、天空では有名なデートスポットとして知られている。


「織姫、着いたよ! 此処がポラリスだよ」(こんな感じでイイだろう、多分)

「まぁ、素敵!」(ダッサー てゆーか、そんな事言われなくてもわかってるわよ)

「実は、今日は織姫と食事するために予約してあるんだ」(つーか、予算の関係で安い所しか取れなかった事は口が裂けても言えねーよ)


彦星は予約を入れている店まで織姫を案内するのだった。

暫く歩いた二人はやがて目的地に到着した。

そしてそこに在ったのは……?



お食事処『こぐま』



「あら、今回は和風なのね!」(な、何よ此処! フレンチレストランとかじゃないのー!?)

「どうだい、なかなか良さそうな店だろ?」(フレンチレストランなんて高くて行けねーよ!)


暖簾(のれん)をくぐり、店内に入ると店主のミーシャが出迎えてくれる。
ミーシャは名前とは裏腹に筋肉ムキムキの大男である。


「ヘイ、いらっしゃい!」

「こ、こんばんは!」(な、何よこの大男!)


大男の出現に一瞬たじろぐ織姫。
しかしそんな事は気にとめずにミーシャは二人を奥の予約席に案内した。


「どうだい、なかなか洒落た店だろ?」(僕はこの店が好きなんだよ、何と言っても安いからねー!)

「そ、そぅね……」(全然オシャレじゃないよー! ていうか、私の趣味じゃないないわよ)


「そんじゃあ、ゆっくりしてくんな!」


ミーシャは熱々の緑茶とおしぼりをテーブルに置いて厨房に戻って行った。


「ねぇ彦星さま、注文とか取らないの?」(何か超怪しいんだけど……)

「ここは僕に任せてもらおう!」(低予算内のおまかせにしているなんて口が裂けても言えないな……)


暫くするとミーシャが料理を運んで来た。


「ヘイ、お待ち!」


運ばれてきたものは……


「ぇ!? ……これって?」(な、何よこれ! ただの素麺じゃないのよー)

「どうだい、なかなか美味しそうだろ」(僕は冷や麦より素麺が好きなんだよー!)

「そ、そぅね…… とてもヘルシーでイイかも」(手抜きよ、手抜きよ! 絶対手抜きだわ!)

「知っているかい? 今日は素麺の日なんだよ」(実はこれを理由に低予算なのをごまかしているのだ)

「あら、そうだったの」(……とか言って安上がりなのをごまかしているだけじゃないの)

「今日、素麺を食べると願い事が叶うと言われているんだよ」(そう、僕の願いは蠍座のさそりちゃんともっと仲良くなる事なんだぁ〜!)

「まぁ、それは素敵だわ」(それなら私の願いは蛇使い座のスネークさまと……)

「それじゃあ、織姫の幸福を願って……」(さそりちゃんもイイけど、乙女座のおとめちゃんもイイなぁ)

「彦星さまの幸福を願って……」(あぁ、スネークさまぁ〜!)


そこへ、ミーシャがニヤニヤしながら話しを割り込ませた。


「なぁご両人、お互いの気持ちはもっと素直にならんといかんなぁ!」

「えっ!?」

「な、何ぃ!?」









今宵はあなたの天の川は見られましたか?(^^)





MILKY WAY3/END
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