森のサスペンス

□森の奥の一軒家
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 無事に目的地へ到着した家族四人……




【隆行】
「さあ、到着したぞ!」

【ともゆき】
「やった〜! とうちゃくだ、わ〜い!」

【あやか】
「ほんとに、ともゆきってこどもね!」

【ともゆき】
「おねえちゃんだってこどもだよぅ!」

【あやか】
「もぅ! うるさいわねー
あたしは一年生なの!
ともゆきは、まだ幼稚園でしょ!」

【静香】
「もぉ、二人とも喧嘩しないの! 折角こんなイイ所に来たんだから!」

【あやか,ともゆき】
「……ごめんなさい!」

【静香】
「わかればよろしい!
……うぅ〜ん、やっぱり自然の中ってイイわね!
空気が美味しいわ!」

 車を降りて大きく背伸びして深呼吸しながら呟く静香。

子供達は大はしゃぎで河原の方に走って行った。

正にここは大自然の中の渓流といった感じで、広い河原と穏やかに流れる水が都会暮らしの慌ただしい生活を忘れさせてくれる様だった。

 川幅は結構広くて対岸には何人かの釣人の姿も見える。


【隆行】
「それじゃあ、早速始めるとするか」

【静香】
「頑張ってネ! 期待してるわよ!
私は、あの子達の相手でもしてくるわね」

【隆行】
「おぅ! まかせとけ!
お前達の方も、あんまり大騒ぎはするなよ! 他の釣人の迷惑になるからな」

【静香】
「わかってますよ!
綾香! 友行! お母さんも交ぜてくれるかなぁ」

 静香も子供達の方に走って行った。


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 やがて、陽は真上に昇り、昼になった。
河原の木陰では、一家揃って昼食の一時を過ごしている。


【ともゆき】
「おねえちゃん、ごはんおいしいね!」

【あやか】
「ホント、今日のはとくべつおいしいね!
あたし、いなりずし大好きだよ!」

【ともゆき】
「ぼくも、だいすき!」

【静香】
「ありがと! そう言って貰えるととても嬉しいわ! でも、美味しいのは当たり前よ!
今日は、お母さんが特別に腕によりをかけて作ったんですからね!」

【隆行】
「まぁ、それもあるけど、こういう場所での食事は特別美味しくなるもんだ」

【静香】
「ふぅ〜ん、何かいつものはイマイチって感じな言い方ね……」

【隆行】
「そ、そんな事はないぞ!
お前の作る料理は、いつも最高だぞ!」

【静香】
「当然ですっ! それより、結果はどうなの?」

【隆行】
「まあまあってトコだな」

【静香】
「それで、午後からはどうするの?」

【隆行】
「まぁ、ぼちぼちやるさ」


【ともゆき】
「ねぇ、おかあさん!
このへん、たんけんしてもいい?」

【静香】
「えぇ、いいわよ! でも、あんまり遠くに行っちゃ駄目よ!
迷子になっちゃうからね」

【隆行】
「そうだぞ! この辺の山には山姥(やまんば)が住んでいて、お前達の様な子供を捕まえては食べているらしいぞ!」

【ともゆき】
「えぇ〜っ! ほんとぅ?
お、おねえちゃん、こわいよぅ!」

【あやか】
「もぅ、ばかね!
そんなものいるわけないでしょ!」

【静香】
「もぅあなたったらぁ、恐がっているじゃないの」

【隆行】
「はははは! 冗談だよ、冗談!」

【あやか】
「ほんとに、ともゆきはこわがりなんだから」

【ともゆき】
「ぼく、こわがりじゃないもん! たんけんいくもん!
でも、おねえちゃんもきてくれる?」

【あやか】
「あっ、やっぱりこわいんだぁ! しかたないから、あたしもいっしょに行って上げるわ!
まいごは、イヤでしょ?」

【ともゆき】
「うん!」






 こうして、お昼ののんびりした一時は終わり、午後の穏やかな時間が過ぎてゆく……






〜続く〜
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