森のサスペンス

□森の奥の一軒家
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 午後の、のんびりした一時……
時折吹くそよ風が木々の葉を揺らし、さらさらと葉の擦れる音が聞こえてくる。



【静香】
「……のどかね〜」

 隆行の隣に腰掛けていた静香が風になびく髪を手で押さえながら呟いた。

【隆行】
「……そうだな、たまにはこういう場所で気分をリフレッシュするのも必要な事だな」

【静香】
「そうね、あの子たちも結構楽しそうにしてるし、ホント来て良かったわ!
……あっ、ホラあなた引いてるわよ!」

【隆行】
「おぉっ! きたかっ!
そりゃっ!!」

 隆行は釣れた獲物をクーラーボックスに入れた。

【静香】
「結構釣れたのね!
これなら今夜はバッチリいけそうね」

 クーラーボックスの中を覗き込んで静香が言った。

【隆行】
「そうだな、今夜は腹いっぱい食えるぞ〜!
……それじゃ、そろそろ帰る支度をしようか?」

【静香】
「えぇ、そうね!
私は、あの子たちを呼んでくるわね」

 そう言って、その場で立ち上がった時……
つい、さっきまで聞こえていた子供達の声が聞こえないのに気が付いた。

【静香】
「……あら? あの子たちの姿が見えないわ」

【隆行】
「ん!? どうした?」

【静香】
「綾香と友行の姿が見えないのよ! さっきまでは声が聞こえていたんだけど」

【隆行】
「大丈夫さ、綾香も一緒なんだろ? ああ見えても綾香の方はしっかりした子だから、暫くすれば戻ってくるさ」

【静香】
「そうだといいんだけど…… でも、心配だわ」

【隆行】
「大丈夫だって!
ここの森はそれほど大きくないし、すぐ近くには民家も点在しているからそう心配するなって!
いざとなれば俺が探しに行くから!」

【静香】
「…………でも、そうね、取り敢えず帰る支度をしましょ」


 静香は心配の色を隠せないまま帰り支度を始めた。








 そして……

そのとき、子供達は?





〜続く〜
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