魔界のパーティー

DEVIL'S PARTY

DEVIL's Palace




ACT.9
MONSTER'S PARTY







一哉と麻衣は案内おばけに導かれて城の入口に向かった。

一哉は期待と不安の入り交じる感覚を覚えながら案内おばけに付いて行く。

麻衣も不安げに一哉の隣を歩いている。


「さぁ、着きましたよ!」

「いよいよか……」

「何だかドキドキするわね」

城の正面入口に立つ二人。
目の前にはガーゴイルのレリーフが装飾された重厚な扉がある。
一哉は取っ手に両手を掛けて力を込めた。

観音開きの扉は鈍い軋み音を響かせながらゆっくりと開いた。
中からは程よい照明の明かりが一哉達を包み込む。

すると微かに何処からか軽快な音楽が聞こえている。


「それでは中に入りましょうか?」

案内おばけに促されて一哉は城内に足を踏み入れる。
続いて麻衣も城内に入って行く。

中へ入って最初に一哉に声を掛けてきたのは、ベルベットのミモレ丈のメイド服を着た王宮メイドだった。
そしてそのメイドはライトブラウンのボブヘアーがとても似合う可愛らしい女の子だった。

「モンスターキャッスルへようこそ!
狼男の一哉様と魔法使いの麻衣様ですね、お待ちしておりました。どうぞ中へお進み下さいませ」

一哉は思わずそのメイドの可愛さに目を奪われてしまい、その場に立ち尽くしてしまう。

「あら、どうしたの?」

と、隣にいた麻衣が声を掛けた。

「ぁ、いや…… な、何でもないよ! ていうか、あまりにも可愛いので見とれてしまった」

「どうもありがとうございます」

王宮メイドは一哉の言葉に対して丁寧な会釈を返す。

その仕草はとても落ち着いた感じで気品に充ちており、それは王宮に相応しいものの様に思えた。

「こ、これはご丁寧に……って!? 何で俺達の名前を知っているんだ?」

「はい、デビルキング様にご招待された御仁のお名前は全て存じ上げておりますので」

「そ、そうなのか?」

「はい、勿論でございます。ウフフフ、特に殿方は……

「ん!? 今ちょっと意味深な台詞が聞こえた様な……」

「それはきっと気のせいですわ」

言いながら笑顔で答える王宮メイド。

一哉の隣に居る麻衣は何故か又頬を膨らませていた。

「カズヤさぁ〜ん! 私、喉が渇いたわぁ!」

「そ、そうか……」

「ぁ、これは気が付かなくて申し訳ございません!
……では、こちらへどうぞ」

そう言うと王宮メイドは赤い絨毯の敷かれた廊下を奥へと案内する。
少し進んだ先にはまた扉があった。

「こちらでございます」

木製の扉が静かに開かれた。

その瞬間、今まで微かに聞こえていた音楽がはっきりと耳に飛び込んできた。

「案内ありがとう!」

「どういたしまして。お客様をこちらまでご案内するのが私の役目ですから」

ニコニコと笑顔で答える王宮メイド。

「そりゃどーも! 今回は案内おばけの出番なしだな」

「そ、そうですね……」

「それはそうと……」

「はい、何でしょうか?」

「もしかして、この子も正体は何とかおばけなのか?」

一哉は小声で案内おばけに聞いてみた。

「その方はおばけではありませんよ!」

「えっ、そうなのか?」

「安心しましたか?」

「ぁ、いや、安心とかそういう事じゃなくて……」

「ふぅ〜ん、それじゃあどういう事かしら?」

怪訝な表情で麻衣のツッコミが入る。

「そ、それは…… ショウコちゃんとは又違った雰囲気かな〜 なんて思っただけだ!」

「ふぅ〜ん…… そうね! まぁそういう事にしておくわ」

「な、何だよ!」

「……ホント、男の人って綺麗な女性(ヒト)を見るとどうしていつもこうなのかしら」

「マァマァ、それが男の性(サガ)ってもんじゃないですか?」

「えっ!? もしかしてあなたって男の子だったの?」

言いながらマジマジと案内おばけを見つめる。


「……そ、そんなに見つめないで下さいよ、恥ずかしいじゃないですか!
それに、私は男でも女でもありませんから!」

「えっ、そうなの?」

「魔界の七不思議ってやつだな」




「あの〜…… お話しお済みでしょうか?」

王宮メイドは控え目な口調で一哉達に声を掛けた。

「おっと、これはすまなかった! 話が脱線しちまった!」

「カズヤさ〜ん、口調が変ですわよ!」

「えっ!? そそそんな事はないぞ!」

明らかに動揺している一哉。

「ぅふふふ…… 面白い方達」

「うぅ〜、笑われてしまったよ。ところで、君はおばけじゃないのならやっぱり魔女とか?」

「もぉ、カズヤさんたら、アンナちゃんも居るのにこれ以上魔女増やしてどーすんのよ!」

「アハハハ……」

頭をかきながらごまかし笑いする一哉だった。



……はたして、ここに居るメイドは何者なのか?
「おばけ」ではないという事らしいが、やはり魔女なのか?

それとも……





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