ぶっく

□コノハの記憶スケッチ
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「僕は…」
僕の頭に「記憶」と言うものが無い。
まるで人生の振り出しに戻ったかのようだ
…ただ…ただ、僕には忘れてはならない大切な人がいた気がするんだ。
でも、その人は僕にとっての何なのかはわからない
ーーー
ーーーー
僕は今、メカクシ団のメンバーの1人となった
きっかけはエネ、という子から
…うーん
エネと始めて会った時。何か変なデジャヴが脳に走った
始めて会った気がしない。
どこかで昔…
そんな時、エネが話しかけてきた
「コノハさん!どうしたのですか?浮かない顔ですね?」

画面いっぱいに顔がうつる
僕も画面に顔を近づけた
そこで聞きたかったことを聞いて見た

「うーん…僕さ、エネと始めて会った気がしないんだ。なんかこう…昔会ったことあるっけ?」
軽く言ったつもりだった
しかしエネは何故か少し表情が暗くなってしまった

「…会ってませんよ!人違いでは?あ!も.し.か.し.て…似てる方に会ったとか!」
彼女は明るく言ってるつもりなんだろうけど僕にはどうしても悲しそうに見えるんだ
僕…何か悪いこと言ったのかな…

「そっか…そうだよね!」

「そうですよ!そうですよ!」



…あれ。



「…エネ…何で泣いてるの…?」
確かにエネの目には大粒の涙がぽろりと落ちていた

「あ、あぁただのアクビですよ!ふぁあ…眠くなってきました。少し寝ますね!コノハさんとお話しできて良かったです!ではおやすみなさい!」

そう言い残すとシンタローの携帯は電源が落ちてしまった。
僕はその携帯を片手に持ってみた
「…エネ大丈夫かな?」
今日はキドやカノが出かけていていない。
静かになった部屋で僕もすっかり寝てしまっていた。



***
「ふぁぁあ…かなり寝ちゃったな〜」
目が覚めるととっくに午後の6:00。さっきまで3:00だったのに
「おはよ。」

「シンタロー…はいたんだ」
ずっと僕が起きるまで隣にいたらしかった
「あれ?他のメンバーは?」

「まだ帰ってきてねぇよ。わかるだろ…それよりコノハ」

「?」
シンタローはバッグを探りそして一冊のスケッチブックを取り出し僕に黙って差し出すと一言「見とけ。」とそう言ってシンタローの部屋へと戻ってしまう。
よくわからないがとりあえずスケッチブックを開いてみた。

「これ…」

1ページ目を開くとそこにはエネにそっくりな優しい表情の女の子がいっぱい描かれていた
違う所は髪の色や服装。描かれているのは黒髪に制服
…確かこれは僕が描いた…

「…た…かね…?」

スケッチブックに水滴が落ち滲む。
気がつくと僕の目からこれ以上にない涙が溢れて出てくる
拭いても拭いても涙が出てしまう
とっさにそのスケッチブックを抱きかかえる
「ごめん…ごめんね…僕…貴音のこと…」



『ーバーカ遅いよ。でも思いだしてくれたんだねありがとう遥ー…』

彼女もまた泣いている。
笑いながら。


「ー貴音…!」
そこには僕、コノハの姿はもうどこにもなかった。今はそう九ノ瀬 遥。もちろんエネの姿もない。

僕は携帯をにぎり画面にいるエネに…いや、貴音にこれまで言えなかった思いを伝える
ーやっとやっと思い出したんだ。
ほら。





























『ー貴音…大好き』

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